第2話 学院まで....

マリアたちは馬車に揺られていた。

もう2時間は走っているようだ。

道は舗装されているとしても凸凹の悪路に近い、それに加え馬車の乗り心地も最悪と来ている。

ロバートは、乗りなれているのか平然と眠りについていた。


その後もう1時間ほど走ると馬車が止まった。


「1度休憩しよう。」

と御者が言い、小さな川の近くで馬を止めた。


「あともうちょいだが、馬が疲れちゃったから少し待ってな。」

マリアも馬車から降り、川に近づき水を口に含んだ。ロバートも馬車から寝ぼけながら降りてきて、顔を洗った。


「もう少しで王都だって。」


「ついても寮まで少し歩くらしいよ。」


ーおーい、そろそろ出発するぞ。ー

と御者が叫ぶ。

マリアたちは馬車に走って戻った。

そして馬車は、ゆっくりと進み始めた。


その1時間後

眠っていたようだ。

御者と誰かが話す声でマリアは起きた。

どうやら御者は王都の門兵と話していたようだ。

通行手形などを見せている。

門兵は、御者に中へというように手で誘導した。

馬車は門の中へと進む。


門を超えるとそこには、石造りで作られた家や商店が立ち並んでいた。

道も石畳で舗装されており流石、王都と言う感じであった。

そして馬車は、門を過ぎたくらいの場所で止まった。


「馬車はここまでだ。」


「ありがとう、おじさん。」

マリアたちは個々にそう言いながら馬車を荷物を持ちながら降りていく。

街に降りるとロバートについて寮に向かう。

大通りを歩いた先にあると言う。


「早く行こうよマリア、おいてくぞ。」

「待ってよ、ロバート。」


少し駆け足で大通りを抜けるとそこに四階建ての小さな庭のある建物があった。

入口の門に《アルケミスト学院寮》と書いてある。


「ここだ。ここだ。」

と指を指しながらロバートが言う。

黒い重い門を押して開けた。

そして庭を少し歩くと大きな戸の前に立ち、戸をノックした。

戸が重い音をたてて開く。

中から女性が少し顔を出す。


「入寮生のようだな。」

「はい、明日から学校に行くのでここに来ました。」

女性は中にマリアたちを導いた。

中に入ると広いロビーが広がっていた。

「ようこそ、ここがあなたたちの新しい家よ。そういえば名前聞いてなかったわね。」

「僕はロバート、こっちはマリアです。」

マリアはお辞儀をした。

「私は、この寮の管理人のハンナです。」

と言いながらハンナはテーブルの上の資料を手にした。

「ロバート、君は4階の男子部屋だ。マリアは2階の女子部屋だ。明日は8時から学校だ。」

「はーい。」

「はーい。」

2人は部屋へ向かう。

「じゃあ、明日学校でね!」

と言いロバートは階段を上がって行った。

マリアは自分の部屋の前にたち戸を開ける。

1人部屋で机とベットが置いてあった。

窓をあけ、荷物の整理を始めた。


そして明日からはいよいよ学校が始まる。


朝、


マリアは、起き上がるとノックがした。

女の子の声だ。


「新人さん、食堂に行くわよ。」


マリアは急いで着替え戸を開ける。


「おはよう、私はクロエよ。隣の部屋にあなたより1日先輩急いで行くわよ。」

クロエは小走りで廊下を進んでいった。

階段を降り、ロビーを抜ける食堂が見えた。

この寮は大きいわりに人は少ないようだ。

先に5〜6人が座っていた。

マリアとクロエと向かい合い座り、食事をとった。

「あなたそういえば名前聞いてなかったわね。」

「あっ、私はマリア。」

「マリーね。」

「マリーは、錬金術何が得意なの?私は、火が得意よ。」

「まだわからないの。」

「そう、それは珍しいわね。」

マリアは、自分が何もわからない理由をクロエに話した。

「そういうことだったのね。でも学校でまた基礎からやるだろうしいいんじゃない?」

マリアは頷く。

「部屋も隣だし困ったらなんでも言ってね。」

とクロエは席を立ち、食器を片付ける。

マリアも少し遅れて立ち上がり片付けに向かい、二人は部屋へと戻った。


程なくして再びクロエがノックする。

「そろそろ行きましょ!」

マリアは戸を開け、クロエと共に寮をあとにする。


学院は、王都の中で王宮の次に大きな建物だった。

大きな門があり、そこをくぐり中へ向かう。

初等部はこちらとなっていた。


この学院では3年間、錬金術師になるためのことを学ぶ(初等部、中等部、高等部)3つの学年があり進級制になっている。3年間が終わると王宮錬金術師や鍛冶屋や薬師など錬金術を用いた様々な職業につき経験を積むのだ。


マリアたちは、案内に従い講堂に辿りつき席へと座ると間もなく式典が始まった。

2時間ほどで式典は終わり、生徒たちは教室がわけられた。マリアは自分の教室に向かった。

教室に入るとクロエが走り寄って来た。

「マリー、一緒の教室だね。やったよ!」

嬉しそうに飛び跳ねている。

周りを見るとロバートもいた。

教室は長机と長椅子が並んでいたので適当に近いところに座った。

担当の先生が入って来た。

「これからよろしくな。君らの担当のバロンだ!担当は薬錬金術と自然エネルギーだ。」

バロンは今後のことについて説明を始めた。

「明日は、どのくらいの錬成が各自できるかを改めて見せてもらいたい。そのため明日は、基礎学と実技試験をやる予定だ。」

日程を黒板に書いた。

「今日は、特に式典だけだからこれが終わったら解散だ。お疲れ様。」

と言うとバロンは教室をあとにした。


「マリー、帰ろー。」

「うん。」

教室をクロエと2人は出て、学校から寮へと戻った。

街並みはオレンジ染まり

もう夕方だった。


マリアは部屋に戻り、日記を書いて寝るのだった。

眠りについて時間が経つとマリアの視界はまたあの夢を見る。


『お願.....た........て、黒き...........世.........壊す。』


真白な世界にまた声だけが響いた。


ーー聞こえないよ、答えて.....


まぶたが重くなり、深い眠りについていた。









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