琴子さんちは、ぐうたらくっく

鳴海なのか

1週目の、琴子さんち

第1話「木曜夜の、ポークケチャップ」


「……おなかすいた」




 すっかり日も落ちきった、仕事帰りのいつもの景色。

 さっさと帰って何か食べたい。




「あ。そういえば冷蔵庫の中、空っぽだった……」




 お米や調味料なんかはまだあったけど……それだけじゃさみしいし、買い物して帰んなきゃ。




 となれば選択肢は1つ。

 いつものスーパーマーケット!



 肉も魚も野菜も安くて新鮮っ!

 シャンプーとかの日用雑貨の品揃えも悪くないっ!

 あと日付け変わる頃まで開いてるから、今日みたいに遅くなっても余裕で買い物可能っ!

 しかもなんと、我が家からも最寄り駅からも徒歩2分っ!!!



 あの便利さ味わっちゃったら、他の場所には住めないよね!





◇◇





「日替わり特売、豚こまかぁ……」



 豚こま切れ肉。

 バラとかロースとか色んな部位がごちゃ混ぜな、いわゆる『肉の切れ端』の詰め合わせ。

 脂の入り具合や形なんかがバラバラだけど、そのぶん安くてお財布に優しいっ!



 ん?

 特売価格になってるの、大パックだけ?!



 大パックで量が1番少ないのは……421g入りだな。

 1人暮らしな私にとって、ちょっと多過ぎ。

 かと言って小分けパックで買うのは割高、もったいなくて損した気分。


 まぁでも、残ったお肉は冷凍しとけばいっか。

 豚こまなら色々使えるし。




 今日の夕飯、豚こま決定っ!





◇◇





 帰ったらとりあえず、お米を研いで炊飯器にセット、スイッチON!


 早炊きモードにしたから、30分ぐらいで炊けるかな?

 炊きあがる頃に、おかず仕上げる予定でいくよー!





 お次は、買って帰った食材の整理&下準備。


豚こま切れ肉 1パック(432g)

  キャベツ 大1個

   玉ネギ 1袋(中3個入り)


 今日買い足したのは、以上!




 【キャベツ】は1/8個分(約150g)だけ取り分けて、残りは袋に入れて冷蔵庫にしまいます。

 取り分けた分は洗って、パッパと振って軽く水気を切りましょう。

 

 洗ったキャベツのうち、半分(約75g)は、ザクッと千切り。

 付け合わせ用ってことで、大皿にドカッと盛っちゃう!

 好みで水にさらしてもいいけど……ま、そのままでいいや。


 半分(約75g)は、ひと口大にちぎっておしまい。

 こっちは味噌汁の具に使うよっ。




 【玉ネギ】3個のうち、2個はそのまましまいます。


 1個だけ皮むいて洗って半分にカット。

 半分は使わないから、ラップに包んで冷蔵庫へ。

 使うほうの半分(約100g)は、くし型切りに切っておきます。




 【豚こま切れ肉】、すぐ必要なのは100gのみ。


 421gか……ってことは4等分したら100gだな!

 肉の5gなんて誤差です誤差っ!!


 目分量にて4等分。


 そのうち1/4(100g)を5㎝幅ぐらいに切ったら、ボウルに入れて【塩コショウ】ひと振りしてサッと混ぜます。

 さらに【小麦粉】大さじ1もかけて、肉全体に粉をまぶすように軽く混ぜたら準備完了。


 ポイントは小麦粉。

 あるとないとじゃ仕上がりが全然違うんだ。

 小麦粉まぶすと豚肉の水分や旨み閉じ込めるからしっとりするし、ケチャップソースにとろみがつくから味が絡みやすくなるんだよー。



 あと3/4の豚肉は、後日使う用に小分けして冷凍。

 ちょっとめんどいけど、小分けしたほうが後で楽なんだよね。

 楽するための手間は手間にあらず、惜しむと逆に面倒が増えちゃう。


 残りは300gぐらいだから……100g×2、50g×2、に分けとこう。


 ちょっと大きめに広げたラップに、1回に使う分ずつ薄く平たくのせて、空気入れないようにぴちっと包みます。

 包んだ豚肉は、ビニール袋にまとめて冷凍庫行き。




 食材整理&下準備、こんなもんでOKかな?

 続いて仕上げといきましょか!






 まずは、味噌汁。


 【水】1カップ(200㏄)を小鍋に入れて中火にかけ沸騰したら、ちぎったほうのキャベツ、【乾燥わかめ】ひとつまみ入れて1分ぐらいで火を止めます。

 ここに溶き入れるのは【和風顆粒だし】小さじ1/2、【味噌】大さじ1。


 う~ん。

 味噌の香りが、空きっ腹にしみわたるねぇ。


 そして最後に【塩】をほんのちょびっと(ひとつまみもいかないぐらい)だけ加えると、なぜか旨みが増す気がするっ!!

 気のせいかもしれないけど。



 ここでちょっと味見。

 ……OK、今日も私好みでいい感じ!


 もし薄かったら顆粒だしや味噌とかを少し加えて、濃かったらお水をちょっと足して、自分好みの味に調整してください。


 味が決まったら、いったん味噌汁は放置です。





 えっと、炊飯器の調子はどうかな?


 お!

 あと5分で炊けるっぽい!


 そういえばさっきから炊き立てごはんのいい香りが、ほわぁっとキッチン中に漂ってたなぁ……だめだ、意識したら余計おなかすいてきた。

 さっさとメインのポークケチャップ焼いてしまおうっ!!





 フライパンを中火で熱して、あったまったら【サラダ油】大さじ1ぐらい引いて、小麦粉まぶした豚肉を広げながら並べ入れ、火を通します。

 豚肉の色が軽く変わってきたら、くし形に切った玉ネギも加え、焦げないように気をつけつつ炒め混ぜていきましょう。


 1人前だと量少ないし、こま切れ肉は割と薄いから早く火が通るよ!


 豚肉に焼き目がつき、玉ねぎに火が通ってきたら味付けです。

 フライパンに【ケチャップ】大さじ2と、【ソース】大さじ2を加えて手早く混ぜます。


 ちなみにソースは、ウスターでも中濃でもお好みソースでも。

 使うソースによって味は違うけど、このあたりならどれでもおいしいから、家で普段使ってるのでいいんじゃないかな?


 具と調味料が混ざったらすぐに火を止めて、大皿にのせた千切りキャベツの横に盛って……ポークケチャップ完成っ!!




 あとは味噌汁あっためてお椀についで。


 炊きあがったばっかりのごはんもよそって。






「いっただきまーすっ」






 ……うんうん。

 ポークケチャップ、柔らかお肉と甘めケチャップソースがよく絡んでるねぇ……小麦粉がちゃんと仕事してる!


 ケチャップとソースしか使ってないのに、昔ながらの洋食みたいな懐かしの味っぽくなるから不思議。

 炒めすぎてない玉ネギの食感がアクセントになってるなー。


 割と濃いめの味だから、キャベツの千切りがいい箸休めだね。




 さらにさらに。

 ふっくら熱々ほかほかの、炊き立てごはん!


 これだけでごちそうなのにさ……さらに今日は、しっかりコク旨のポークケチャップがあるんだよ……こりゃ、ごはんがどんどん進んじゃうっ!!




 あったか味噌汁も忘れちゃいけない。

 洋食メニューに味噌汁がつくと、“街の洋食屋さん感”がアップするんだよね。


 あー……味噌汁やっぱ和むわー。

 定番わかめも、キャベツの自然な優しい味もいいねぇ……。

 

 そして味噌汁でほっと一息ついたあと。

 またもや、ポークケチャップ+炊き立てごはんに戻ると!




 ん~~~、たまんないっ!!





◇◇





「ごちそうさまでしたっ!」




 はぁ、今日もおいしかったなぁ。

 もうこの幸せな気分のまま寝ちゃいたい……。



 …………。

 


 分かってるよ、寝ちゃだめだって。


 食べてすぐ寝るの、色んな意味でよくない。

 それにまだメイクも落としてないし、お風呂も入らなきゃだし、使った食器も洗わなきゃだし……。

 あ、ごはん多めに炊いたから、余った分は冷凍しとかないとだし……。



 あーあ、めんどくさいなー。

 何もしたくないなー。




「まぁでも、やんなきゃダメだよね…………はぁ……」





◇◇





これは、

おうちごはんが大好きで、

ほんのちょっぴり“ぐうたら気味”な、

琴子さんの日常をつづったお話。





・・・・・・・・・・・・・


おまけ。


↓料理のイメージ写真こちら

https://twitter.com/nano73/status/958726193708232705


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   材料(1人分)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 <ごはん>

米 (※炊きたい分だけ)

 ■水 (※米の量に合わせて)


 <味噌汁>

キャベツ   大1/16個(約75g)

乾燥わかめ  ひとつまみ(約1g)

 ■水     1カップ(200cc)

 ■和風顆粒だし 小さじ1/2

 ■味噌    大さじ1

 ■塩     ほんのちょっと


 <ポークケチャップ>

玉ねぎ    中1/2個(約100g)

豚こま切れ肉 100g

 ■塩コショウ ひと振り

 ■小麦粉   大さじ1

 ■サラダ油  大さじ1

 ■ケチャップ 大さじ2

 ■ソース   大さじ2


 <キャベツの千切り>

キャベツ    1/16個(約75g)




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

琴子さんちの、食材ストック

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ごはん    《冷凍》茶碗4杯分(約600g)

豚こま切れ肉 《冷凍》100g×2、50g×2

キャベツ   大7/8個(約1050g)

玉ネギ    中2+1/2個(約500g)


       ……他。

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