第7話 再会

別の教室から自分の教室に戻った俺は自分の席に座った。

いじめっ子たちがこちらを指差して笑っているが無視だ。

無視しているうちに時間が来て先生が知らない子を連れて入って来た。

「今日から同じクラスになる子よ。みんな仲良くしてあげてね」

「「「はーい」」」

「自己紹介してくれる?簡単にでいいからね」

「…はい……」

何か暗い子だなと俺は思っていた。

名前を聞いて驚いた。

「松本 七海ですっ……よろしくおねがいします」

「違うでしょう!あなたの名前は…」

先生は呆れたように何も言わなくなった。

「まぁ、いいわ。席はこっちよ」

「はい」

先生が彼女を席に案内する。



今日は、いっぱい遊んで帰りに気になったことを聞いて見た。

「佐藤さん…一緒に帰ろ?」

「誰…ですか?」

感情のこもってない目で聞いてきた。

「私の名前は吉田……智花です」

俺は今の名前があまり好きじゃない。

女の子っぽい名前だからだ。

いや、いまは女の子だけどね。

でも、このままでは普通の恋愛とかできやしない。

男と付き合うとかもってのほかだ。

「あなたの名前は?」

俺が聞く。

「私?」

「うん」

前世でもこんな出会いだったかもしれない。

逆だったけど。

話しかけてくれて友達になれた。

話しかけてくれたから付き合うことができた。

今度は俺が……。

「私の名前は佐藤…優菜です」

他愛もない話をしながら帰っている。


人が少なくなってきたところで朝の名前について聞く。

「あの、朝の紹介の時に言ってた松本七海って誰?」

「私、前世の記憶が残ってるの…前世の時の名前なんだ。もしかしたら彼に会えるかもと思って」

「彼?」

「うん」

「その彼は、なんていう名前?」

俺がそう聞くと…彼女は泣きそうになりながら教えてくれた。

「やまざき………」

落ち着こうとして深呼吸している。

深呼吸しながらもなお、涙を流し続けていた。

「ゆ…う…じってなまえなんだけど」

いいたい。知ってるって。だけどこんな体だからいえない。言ったら嫌われるかもしれない。嫌われたくない。でも、こんなにも愛してくれてるんだから言うしかないよね。知っていて隠し通すのも嫌だし。

「知ってる…よ」

「どこに…いるの?」

元気とまではいかないものの泣き止んではくれた。

とりあえず落ち着くまで待つために近くの公園まで歩く。




俺たちは近くの公園のベンチで話す。

「どこにいるの?ゆうじ君は?」

「こ………」

小さな声で言う。

「えっ?聞こえないよ」

「ここにいるっ」

怒鳴ってしまった。迫力はないだろうけど。

むしろ可愛いくらいかな。なんだか虚しくなってきた。

「えっ」

彼女は驚いた声をあげた。

「俺がそうだ」

すの口調にする。

前世のだ。

「じゃあ、どうして女装なんかしてるの?」

「女装じゃない。生まれ変わったらこうなっていただけだ」

「女の子?」

「になっちゃったみたい」

「そうなんだ」

嬉しそうな顔している。

会えて嬉しいのかな?

嬉しそうな顔も一瞬で、泣きそうな顔になってきている。

そう思っていると今度は抱きついてきた。

「会えて嬉しいよー」

そういいながらも下半身を触ってきた。

女の子かどうかを確かめるためだろうか?

「やっぱり女の子なんだね」

抱きつくのをやめてそんなことを言ってきた。

「こんな俺じゃ嫌?」

やっぱり心配でそんなことを聞いてしまう。

「ううん…そんなことないよ。会えて嬉しいし性別変わってもゆうじはゆうじでしょ?」

「うん」

そんなこと言われると泣けてくる。

「ありがとう」

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TS転生? 中尾優 @Nakayamaaki

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