第19話 不注意でした


剣術の訓練最終日だった今日は特に疲れたアーネは終わった直後倒れるように眠ってしまった。

そしてその夜。


[バサッ、トコトコトコ]


なにか音がするとアーネは目が覚めた

外は暗い、倒れてから大分たっているだろう

アーネは目を薄く開けた


アーネ「………、?」


アーネは不思議に思った。

なぜ目の前に銀色の髪を垂らしたエルサがいるのだろうかと


エルサ「…」


エルサはなにも言わず外に出ていった


アーネは急いで着替え追いかけたがどこに行ったか分からなかった……………


~森~


エルサは今日も同じように衝動的に血を求め森に来た、いつもと違うのはいつもより疲れ血を求めすぎているところだ

アーネが起きたことには全く気づかなかった


エルサが森の少し奥へ行くと警備兵がいた

その警備兵はデンドが森に配置している兵だ

その警備兵に見つからないよう進み獲物を見つけいつもと同じようにその命を断ち部屋へと戻る……


洗浄魔法をかけるのを忘れて



アーネは玄関付近にいた


アーネ「本当にどこに言ったんですの、お父様達には迷惑をかけたくないですし。」


そんなときアーネは森の方向(近くではない)から歩いてくる人を見つけた


アーネ「エルサ?」


アーネはエルサと思い聞いてみた

だが、そこから思考が停止した。

その少女は血塗れなのだ、髪は真っ赤に顔も赤く服までも赤かった


アーネ「…ぅ、ぁ」


アーネは恐怖で部屋へ走って戻った

戻ったあとあれは見間違いだと何度も思い時間がたったあとガチャリと音がした

音がした方を見ると先程と変わらない赤くなっている“エルサ”が見えた


エルサ「…」


エルサは出ていくときと同じように無言でベッドに寝転がり眠った


アーネは怖かった、何があったのだろうかと思考なんて働かない。エルサは無口だ普段全く喋らない、でも嘘はついたことなんて無かったはずだ。

それにこの前に話をしたばかりだ。

よくわからないままにアーネは疲弊した精神を治すために身体が眠りを訴えそれに従った



エルサは起きたが頭が働かずぼーっとしていたそんなところへ隣から


アーネ「…あっ、えぅぁ、…ひっ…ぁぁ、あ……キャァァァァァァ」


悲鳴が上がった

そんなことになればもちろんここの使用人達はもちろん親なども来るだろう

てか、来た。


シャル「どうされましたか!おじょ、う…さ……ま」


シャルは最初アーネを見、無事を確認しながらエルサの方を見てから言葉が吃り始めた

もちろんこの人も


シャル「…キャァァァァァァァァァァァァァァァ…」


悲鳴、しかも長い

ということでいろんな人が来たけどデンドが来てから皆解散となったエルサ、アーネ、ヒシン、シャルを自分の部屋へと呼んで。


エルサはきれいに洗われデンドのいる執務室へと行った


~執務室~


デンド「来たか。」


デンドの後ろには護衛が3人ほど立っていた


エルサ「…」


アーネ「…」


ヒシン「…」


アーネはまだ困惑していた

ヒシンは何かを考えているようだ


デンド「さっそくだが、本題に入ろう。なぜ君は血塗れだったんだ?」


エルサ「…」


デンド「…答え、ない、か。」


[コンコン]


デンド「何だ?」


「警備のものです、ウルフの森のことで報告に来ました」


デンド「入っていいぞ。」


「失礼します。…この方達にも聞かせて大丈夫なのですか?」


デンド「ああ、いいぞ。アーネには言っている」


「…では、先程朝の番の者が、夜の番の者が交代に戻ってこないと言うことでマラリック隊長が5人ほど連れ森に入ったところ少し奥のところに夜の番の者とウルフ2体、ブラックウルフ4体、ウルフの亜種1体の前までと同じような死体が確認されました。以上です。」


デンド「…なるほど、数が多いな、それで周りに足跡は無かったか?」


「…足跡は…ありました。それも子供のような小さい足跡が。」


デンド「そこの少女ぐらいの大きさか?」


「…ええ、そのぐらいです。」


デンド「分かった下がっていいぞ。」


「失礼しました。」


デンドはエルサの方を向いて


デンド「…エルサさん、夜に何をしていたのですか?」


デンドからは有無をいわせないような威圧の混じった空気がでていた


エルサ「…寝てた。」


エルサはどこから見ても怒っているようにしか見えなかった


デンド「アーネ本当か?」


アーネ「…夜、私が目を覚ましたときにエルサは起き上がり外へ出ていきました。帰ってきたときは…ち…ちま、みれ、でした。」


エルサはアーネとデンドを睨んでいた


デンド「そうか、分かった。エルサさん、君は夜に森で何をしていたんだい?」


エルサ「ご飯を食べてた。」


エルサの声はものすごく耳に入っていった


デンド「…それはどういうことだ?」


デンドは悩んだもしそうだとすれば、エルサの言った“ご飯を食べてた”のならここにいる全員獲物としか見えていないと言うことだ


エルサ「どういうことって言っても、私はご飯を食べてただけ。」


デンド「…魔物がか?」


エルサ「あれって魔物なんだね。」


デンド「…ここにいる人全員か?」


エルサ「そうだね、私はご飯として思えるよ。」


アーネはこんどこそ気絶した自分の頭の中で処理しきれなかったからだ


デンド「…お前が事件を起こした、ということでいいのか?」


エルサ「いいも何も合ってるからね。」


護衛は前に出ようとした、そこでデンドは止めた


「なぜです、犯人は決まったじゃないですか。」


デンド「捕まえようとしたところで何もできん。」


護衛は大人しく引き下がった


デンド「…さて、エルサさん、私と手合わせしていただけないかな?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る