木曜日の朝

 朝、カッターは昇降口で同じクラスの女子、紗希さきと会った。


 ショートヘアがところどころ跳ね上がっている彼女は、

「おっ、カッターじゃん。おはよー!」

 といきなり声をかけてきた。


 驚いたカッターは反射的に頭をぺこっと下げた。


「カッターって家この辺なんでしょ?いいなー近くて……」


「うん、そうだね」


 カッターはぼそぼそとこたえ、家遠いんだっけ? と続けた。


「うん、電車で30分くらいかなー。それにしてもカッターはなんかカワイイな」


「そう?」


カッターは短くこたえた。


 話しているうちに教室に着いた。


 カッターとは席が遠い紗希はそれじゃっ、と教室の後ろのほうに歩いて行った。

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