第3話 美幼女と美男子に膝をついてお願いされた。

 転生?


 その言葉を聞いて、トラックに押し潰された衝撃を思い出す。


 ──……たのに……──


「え?」


 思わず口から漏れた言葉を、耳聡く拾う金髪碧眼美男子。

 こちらを立たせようと手を出していた為、距離が近かったからか。


 聞こえなかったようなので、もう一度ハッキリと言う。


「やっと終わったと思ったのに」


 その言葉にギョッとする美青年。

 差し出された手は払いのけ、自分の意思で立つ。


「余計な事すんなよ! やっとこれで、死ぬほど辛い目から解放されたのに!

 勇者様?!

 って事はアレか?!

 世界の危機を救えってか?!

 ゴメンだね!

 いい加減にしろよもう!

 ヤダよ使い捨てられるのは!

 もう真っ平だ!!」


 頭に血が上り、全力で叫ぶ。

 途中余りの全力叫びの為声が裏っ返ったが気にしない。


「でも、勇者様でないとこの世界は──……」


 美幼女が潤んだ目でこちらを見上げる。

 今にも涙が零れ落ちそうだ。


「知らねぇよそんな事。

 テメェのケツはテメェらで拭けや。

 お前らの世界で起こった事だろ?

 こっちに丸投げしてくんな!」


 そうだ。

 どいつもこいつも、尻拭いは他人任せ。

 自分は安穏と命令だけして、できなきゃこっちを役立たず呼ばわり。

 理不尽にも程がある。


「勇者殿! お気持ちは分かります。我らも歯痒い思いをしております。

 神と同等の力を得られるのは、異世界から選ばれし転生された勇者殿だけなのです!

 どうか、その力をお貸しください!」


 ポロポロ涙を零す美幼女の代わりに、一歩前に出て説得を始める美男子。

 剣を床に置き、片膝をついて頭を下げた。

 すると、他の全員も同じように床に膝をつく。


 そして、こちらの次の言葉を待っていた。

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