根暗な僕は見知らぬ君に恋をする。

らんまる

第1話

「ん...」


枕元に置いた携帯電話がデジタルチックな音を立てている。

僕は手探りで携帯電話を探し、画面の明るさに目を眩ませながらアラームを止めた。


いつも通りの朝だ。




「あんたそろそろ起きないと遅刻するんじゃないのー」


1階からそう母の声が聞こえたので、僕は小さな声で「起きてるっつーの」と呟いた。


僕の家は母と妹が2人の4人で暮らしている。

父は僕が幼い時に出先の交通事故で亡くなってしまった。

それからというもの僕達3人を母1人で養ってくれているのである。

今年で43歳を迎えるというのに、容姿は昔から変わらず、自分の母親ながらに化粧をすれば美人だとは思う。


「ん、じゃあ私会社行くからちゃんと遅刻しないように行くのよ。」


母はそう言って紙パックの野菜ジュースのストローを咥えながら慌てて家を出ていった。


「おう、気をつけて。」


寝癖の付いた髪をいじりながら僕はそう言った。


パンを齧り、横目でニュースを見ながらコーヒーを啜っていると、時刻がすでに8時を回っていることに気が付き僕も慌てて家を出た。

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