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「顔が蒼白ですね、先輩。それより、急にどうしたのですか。何故部活に行かずにそのような場所へ?」

「お前と一緒に行きたい、って言ってるんだ。それで意味は分かるだろ」

「えっ……」

「どうした。おかしな顔して」

「アイロニーを感じますね。アイロンだけに」

「何も皮肉ってねえよ……」

「でも、先輩。私は男ですよ」

「いや……俺は一応、お前の秘密を知っているというか……」

「それって、私の本当の性別を知っているってことですか?」

「う、うん」

「そんな……。もしかして、名前も……?」

「あ、ああ。ヴァイオレットだろ。ちょうどこれが書かれている2018年冬時期のアニメでそういう名前のヒロインの作品をやってるけど、割と偶然というか、パパッと適当な思いつきで名前をつけると、それは自分では閃き由来だと思っていても、もしかするとどこかで小耳に挟んだ固有名詞が脳裏に残っていて影響した可能性が無いとは言いきれず、なんだかパクったような惨めな気分にさせられるって天の声が言ってた。あと、こういう時事ネタはパロネタ以上に嫌われるし先がないから創作においては書かない方がいいらしいけど書いちゃえどうせ誰も読んでないし、とも言ってた」

「何の報告ですか。ですが、そうですか……先輩は私の秘密をご存知だったのですね。では、私のことは『フィオ』と呼んで下さい」

「フィオ?」

「ええ。本当に親しい人達は、私のことをそう呼んでいましたから……」

「親しい人? それって、俺の気持ちを受け入れてくれる、ってことでいいのか?」

「は、はい。交際経験など皆無のふつつか者ですが、どうぞ、よろしくお願いします。ただ……」

「ただ?」

「私がこのように性別を偽っているには、理由があります。オリシュタイン騎士大公国、聖十字騎士章叙勲式の三日前に姿を消した我が――……」


- TO BE CONTINUED -


→40(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885069702/episodes/1177354054885102202

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