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~これまでのおはなし~


 私、ジョセフィーヌ。最近、歴史上の女性偉人を男体化して、そのキャラにBLをさせるという面倒くさい趣味にハマってる女子中学生。私がいつものようにYoutubeでシマウマの交尾動画を見ていると(精液が牛乳みたいな量!)、ドンドンドンドン、階段を駆け足に昇ってくる危険な音がしたの。まずいわ。義母さんが激怒してる時の足音よ、これ。「ジョゼェェェェ!」バーン!「今度という今度は、絶対に許さないわよ!早くドアを開けなさい!」バーンバーンバーン!扉をしきりに叩いてる。怖い。完全にホラーゲーム状態。でも怒ってる理由が分からない。一体私が何をしたっていうの?それが判明しないと不用意にドアを開けられない。も、もしかしてだけど、私が家族に内緒でこっそりやってるSNSの裏アカが見つかったんじゃ。だとしたらまずいわ。だって、そこには私のPhotoshop加工技術を駆使して作った、「私=空条承太郎、父さん=ジョセフ・ジョースター、義母さん=J・ガイル」のコスプレ家族団欒写真をアップしてるんだもの。確かにあれを見られたんじゃ言い訳不能。(せめてエンヤ婆にしてれば……!)「あなたネットオークションでなんてもの落札してるの!あんなもの受け取らされた方の身になりなさい!恥ずかしいとは思わないの!?早くこのドアを開けなさい!」あっ、違う!プルーストの『失われた時を求めて』をBL目線で読み解くという意欲的な内容で、今年のBL同人界の片隅を局地的に席捲したアカデミックBL同人誌セット(全七部に対応の全七冊)が遂に届いたんだわ!(「紅茶に浸った一片のマドレーヌの味をきっかけに、好みのカップリングがイバラ(※BL用語)でもがき苦しんだ過去の記憶が鮮明に蘇る」という、味覚と記憶とホモには密接な関係があることを示唆する場面から始まる、インテリジェンスに満ちたBL同人誌よ)あれなら父さんが仮想通貨転がしで稼いだ泡銭を勝手に注ぎ込んで購入したこと以外特に怒られる筋合いは無い筈!「はーい、今開けまーす」バババババッシーン!義母さんの手が、苛烈にマッハに私の頬を打ち据える。マッハたたき。「やっぱりお前にはあの女の血が流れているんだよ!忌まわしい売女の血がね!」


- THE END -

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