15#風船が繋ぐ絆
「あーっ!また風船飛ばしただろ!女王様は風船を飛ばすことに嫌悪感を持っていることを知っているだろ?」
ガチョウのブンは、オオハクチョウのメグ女王様の膨らませた青い風船をまた飛ばしたマガモのマガークことをプンプン怒った。
「あ、これはメグ女王様からの公認だよ。その証拠にあの風船の先端に穴が開いててね・・・」
と、言い訳をすると、
す・・・っと空からその飛ばした青いゴム風船がゆっくりゆっくりと降りてきた。
ブンは、そそくさと降りてきた風船を嘴で、
「ナイスキャッチ!」
先端の穴から空気が抜けてしおしおになったゴム風船を銜えたブンは、突然その風船を膨らませた女王様と“間接キス”が出来るチャンスが出来るどころか女王様の吐息を自分の肺に取り込めるチャンスではないか?と感じた。
ガチョウのブンは結んでいる吹き口を解き、すーっ!とまだ風船に若干の残っているメグ女王様の吐息を吸いこみながら、マガークのところまで戻った。
が、
「あーーーーっ!」
そこには、マガモのマガークと、オオハクチョウのメグ女王様がリアルに直接キスをしていたのだった。
「ガーーーーーーーーーン!なんでぇ!」
「だって、女王様の命令をやったからだよ。労いにキスをしてくれたんだ。」
ショックで心にヒビが入ったガチョウのブンはおもむろに、萎みきったゴム風船に思いっきり吐息で嘴で膨らまし始めた。
ぷぅーーーーーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーーーーーっ!
「ブン!凄いねえ!あの時皆で風船を膨らませていた時には、割れる音が怖くて怖気ついていたのに、
今のブンは本当に一生懸命に顔を真っ赤にして頬っぺたをめいいっぱいに膨らませていきを吹き込んでいるんだもん!・・・
って、膨らませすぎだよ!しかも、先端の穴が開いているのにぃ!」
マガークも女王様も翼で顔を抑えた。
それでも、ブンは膨らますのを止めずに青い風船に息を吹き込んでいた。
「ん?風船にぷしゅーーーーーと音が・・・」
「あーーー割れちゃう!」
パァーーーーン!
・・・・・・
・・・・・・
・・・それから・・・
その不思議な湖から飛び立った鳥達はどうしたのだろうか?
あの鳥達は風船を見る度にあの湖の事を思い出すようなり、その記憶によってそれぞれの絆が深まっていった。
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