妹がブラコンであることを兄は知っている。
ミヤ
第1章
第1話 プロローグ
……突然だが男性諸君。君は、女性に好意を寄せられて困ったことがある、なんて経験をしたことはあるだろうか?
いや、こんなことを言ってしまっては無闇に敵を作るだけのような気がしてあまり口にしたくは無いのだが……そう、つまり「異性にモテて困る」という体験をしたことがあるか、そう尋ねているんだ。
勘違いして欲しくないのは、僕は決して君たちと喧嘩がしたいわけではない。
故に、この質問に君たちを煽るといった意味合いも、不特定多数の人間にモテ自慢をしたいわけでもないと、そこだけは分かって欲しい。
そう、これは自慢などではなく、純粋に悩み相談として聞いてほしいんだ。
僕の妹──
中でも得に、その容姿はずば抜けている。言ってしまえば、テレビに出ている芸能人と比較しても遜色ないレベル。実際に何度かスカウトといった形で声をかけられたことがあるようだが、本人は一切興味を示す素振りは無く、テレビはおろか、雑誌などにも出たことが無い綺麗な一般人のままだ。
そしてまあ、語るに足らずというべきか。もちろん彼女は学園生活でも、その存在感を遺憾なく発揮している。親衛隊なんて呼び方は少し大げさかもしれないが、実際に彼女のファンクラブなる団体も存在しているらしい。
兄としては甚だアホらしいと一蹴したくなる情報だが、実に学園の三分の一以上の男子が加入しているという本当なのか嘘なのか分からない情報まで飛び交っているほどで、時折「ひょっとすると異端者は僕の方なのではないか?」と疑問に陥ってしまうことがある。これほど間違いであって欲しいという悩みもそうはあるまい。
現在特定の彼氏はいないそう。これは本人から聞いた情報なのでまず間違いない。
いや、聞いたという言い方は少し語弊があるが──ここは語ると少し長くなるので割愛。
つまり彼女は学園のアイドル的存在で、僕の妹で、現在特定の彼氏がいない女の子、そう理解してもらえればそれで十分だ。
対して兄──僕、
こんなにも美人の妹がいるのだ、兄もさぞ素敵な男性なのだろうと思われがちだが、全くその通りでは無いので安心して欲しい。
容姿平凡、成績普通、スポーツ人並み、そんなどこにでもいる、至って普通の男子高校生。それが僕の姿だ。
ちなみに現在特定の彼女はいない。唯一、それが妹と張り合える一つのステータス。いや、同じ恋人の有無でも、その意味合いは兄妹で随分と変わってくるのだが……そこは触れないで欲しい。
つまり僕は学園のモブキャラ的存在で、アイドル級の人気を誇る妹の兄で、現在特定の彼女がいない男の子、そう理解してもらえればそれで十分だ。
妹よりも語ることが少ないことが、それを見事に証明している。
さて、どうしてこのタイミングで妹の紹介をしたのか。
全ての始まりは、今から二年前のとある出来事がきっかけだった。
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【あとがき】
こちらの作品とは別に、妹がヒロインの小説を書いてます。
タイトル「血の繋がりが無いと分かってから、妹の様子が何だかおかしい。」
ぜひ、こちらの作品もよろしくお願いします~!
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