4.人間界と魔界


 「良い関係の場合」

 人間が魔界の住民たちと仲が良ければ、どんなに楽しいことでしょう。魔王も、無用な戦闘は避けたいはずです。人間と魔族が仲の良い世界を想像してみましょう。

 魔界の側が友好的な場合、交易がはじまり、それと同時に物、カネも移動していきます。するとどのようなことが起きるか。この場合、魔界でしか採取できない鉱物などの材料と、人間界の技術力が合わさり(その逆もあり得ます)、新たな道具や武器ができることでしょう。現実ではユーラシア大陸の大半を征服した大元ウルスが東西の交易路を舗装したため、ペルシャ地方でとれるコバルトと中国大陸の青磁を作る技術が合わさって染付が誕生しています。

 また、魔族と人間の血が混ざりあうことで、瘴気耐性のある半人が生まれるかもしれません。ただし、彼らが疎まれないという保証はありませんのでご注意ください。



 「悪い関係の場合」

 何が原因で悪い関係となったのかはさておき、魔界の動向は二つに分かれます。

 それはつまり、人間界との交易を断つか、もしくは攻撃的に攻め入ってくるかです。すると人間界の国同士は結託しあい、また国内が複数の派閥に分裂しているときは挙国一致の体制をとるでしょう。こうして一つの目的を目指して人類は協力し合うと、武器や魔法の発達も著しいものとなりそうです。インターネットやGPSといった科学技術も、戦争から民間にトップダウンされたものですから、この史実から考えれば技術発達もおかしな話ではありません。


 魔界軍が人間界に侵入した場合、本土が戦場と化してしまう国があるはずです。戦闘が起きた地は、荒廃して生産能力が低下し、物を作る技術が先ほどとは打って変わって低くなる傾向があります。

 荒廃して生産能力が低下するというのは、基本的に農業を中心として経済が回っている時代のことです。さらにこういった時代では、食料はすべて人の手で一から十まで育てなければいけません。もし魔界でも農業をして、穀物などを食すという人間に似た暮らしがされていれば、停戦協定が毎年行われるでしょう。農家の繫忙期である夏や秋はおそらくその時期です。そして冬になると本格的に戦争が再開されるのです。


 14世紀から15世紀にかけてイギリスとフランスの間に起きた百年戦争は、その名の通り約百年間にわたって戦争が展開されました。しかし、百年とは、いやに長いですね。

 そうです。これも百年間ずっと戦争していたわけではなく、上記のように停戦しては再戦を繰り返していたのです。

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