第1話(番外編)トキジとトシヤ

(こちらは、「この胸に溢れんばかりのありったけの想いを」のサイドストーリーになります。


未来が変わり、年也が何十年経って老人間近になってからのストーリーです。


なお、このストーリーの主人公は本編に登場するサブキャラの『年也のクラスメート、白岩時次』です。今回は、脇役の地味キャラにスポットライトを当ててサイドストーリーを組み立ててみました。)


白岩時次は、47歳になってもなお独身のままだった。結婚することを、ずっと夢見ては婚活を重ねた。


自分にとって、どんな人が自分に合うのか?

ずっと模索してた。自己分析も、繰り返す。


しかし、結局自分の理想に合わないと気が進まない。

自己分析しても、役に立たない。結局自分が納得しないと、気が済まないのだ。


だって、俺が必死で働いて、コツコツ貯めて稼いだお金を預けるわけだ。

だって、預金通帳を渡すんだぞ?慎重になってなるだろう?


まず、無駄遣いが派手そうな女はダメだし、信用できる女じゃないとな・・。

また、専業主婦当たり前願望の女とか、うちの親が反対しそうな育ちの悪い女とか。


料理とかしたことないような、自立してない痛い女。この辺りは、NGだな。

まず。相手の事をよく知らないと。そのためには、しばらく付き合わないと行けないし。


付き合っても、その時間が無駄になってはいけない。


特に、30過ぎたあたりから慎重になるよね。


付き合う人とは、皆結婚意識しないとって思うし。

とりあえずとか、まず付き合えないよね。


でも、そうやって考えると。

ちょっとでも、嫌なことあると「あー、無理かも」とか思ってしまう。

恋人が出来るって難しい。

焦り過ぎてもいけないし。かといって、余裕過ぎても行けない。


そんなこんなで。

なんと、47歳になるまで彼女無しのまま生きてしまった。


結婚相談所に登録してみたが、(それも、一番安いところを調べつくして登録)


無駄に金ばかり取られて、


しかも売れ残りの高望み女ばかり進められて。

なんかもう嫌になる。


どんだけ金を貯めても、

そのお金をタイミングよくつかえなければ、お金の価値も減ってゆくのだ。難しいもんだ。


今日も、一人ふぅと溜息ついては、貯金して買ったマンションの一室でお茶を飲む。


どんな所に住んでいようが、一人じゃたださみしいだけだ・・。


お金があっても、幸せじゃなかったら。意味ないじゃん。

このまま、俺は一人のまま余生を終わらせてしまうのか。


ぼんやりテレビをつける。


最近、ワイドショーで賑わせている

女優、三谷キララの父親の横領疑惑問題がひっきりなしに流れていた。


こいつの親父。実は、俺。昔友達だったな。

ある時を境に、連絡しなくなったけど。風の便りでは、何度か結婚したとかしてないとか。子供が、女優になって売れっ子とか何とか。


あいつ。貯金とか将来の事とか何も考えずに、やりたい放題だったのにさ。


なんで、将来の事を考えてコツコツ生きてる俺が、こんな人生歩んでて。あいつは、ちゃっかり超絶美少女の子供とか出来てて、今はCMギャラ一本三千万円みたいな人生歩んでんだよ・・。


しかも、犯罪起こしてるのに。色白美青年でイケメンのあいつには、何故かネット上では謎のファンクラブまで出来てる始末だった。追っかけまでいるらしい。


ワイドショーで久しぶりに見たあいつ。中年になっても、あいつは相変わらず劣化どころか、色気を増していい年の取り方していた・・。


とはいえ。犯罪者は。犯罪者だ。色んな複数の女性達を、騙しては金を巻き上げたんだぞ?


頭おかしい女が、世の中には沢山いるもんだ。おまえら、もし騙された当事者ならどうなるんだ?


おれ、益々それ聞いて女と結婚するの怖くなったよ。


三谷キララ。確かに、あいつによく似て端正な顔の美少女だった。


いつも、インタビューでは上手に媚びうる癖に、カメラ回って無い時はすげぇワガママだったり、塩対応だったりって聞いたが・・。流石、「気に入らない奴には声かけられない」を地でいってるような男だった三谷年也にソックリだわ。


そんな奴でも、顔さえよければ。運さえ掴めば大金は稼げるし、人気者にもなれるし。なりたい顔ナンバーワンとか言われるようになる。もはや、世も末だな・・。


あいつ。犯罪者になっても、なおモテモテだなんて。羨ましい限りだ。あいつは、いつも困った時しか元々連絡などしてこない。


いつも、飲み代が足りなくなったり、飲み会で人が足りない時など、俺にお願いしてきた。だからといって、俺にいい事などひとつもなく、全部あいつが良い所もっていって終わる。俺は、話のネタに弄られるだけ。


元々、友達少ない俺にとっては。それでも、貴重な友達だった。そんなあいつから、突然久しぶりに電話がかかってきた。






















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