第13話 住人第1号

 そのおとこれいちか部屋へや希望きぼうということで、1号室ごうしつすすめたが、やすいほうにしたいというので、しかたなく0号室ごうしつ真上まうえの3号室ごうしつむことになった。バイトをしながら心霊しんれいスポットめぐりをしているため、すぐにでもしてきたいという。内装ないそう自分じぶんおこうということで、家賃やちん万円まんえん前払まえばらいしてもらった。つかさ玄関正面げんかんしょうめんの1号室ごうしつへとうつった。

「せっかく掃除そうじしたのに、こんどはここを掃除そうじするの?」

 ついてない。掃除そうじした部屋へやからまっていく。祐二ゆうじ霊視れいしメガネは、さないことを条件じょうけんに0号室ごうしついた。


 住人第じゅうにんだいごうは、きた零児れいじ名乗なのった。零児れいじなんとかマツと意思疎通いしそつうしようとこころみたが、いずれも失敗しっぱいした。れい波長はちょう人間にんげんとしか、はなしができないらしい。文字もじわすれてしまったそうだ。手話しゅわならいけるかとおもったがマツができない。


 夜中よなかになり、つかさおもしたように祐二ゆうじにSNSでメッセージをおくった。

「アパート経営中けいえいちゅう入居者にゅうきょしゃごう、オカルトオタク。かれがメガネ、使つかってる。」

 しばらくして祐二ゆうじから

「じいさんのれいは?」

 というメッセージがどどいた。

「まだいる。」

 マツが成仏じょうぶつすれば、せっかくの入居者にゅうきょしゃってしまうだろう。でも、れい居座いすわられていては、入居者にゅうきょしゃえるともおもえない。いたかゆしである。

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