第7話 霊の秘密

あとからくからな。」

 マツは、1号室ごうしつと2号室ごうしつまえこえをかけると0号室ごうしつはいっていった。

「お二方ふたかた成仏じょうぶつされたことですし、ほかの部屋へや移動いどうできませんか?」

 つかさはマツにおそおそたずねた。

「できれば、そうしてやりたいのはやまやまだが、れいというのは不便ふべんで、おもいのつよいところでないととどまっていられないようじゃな。」

 れいおな部屋へや生活せいかつするのはいやだ。しかし、すこしでも収入しゅうにゅうやすには、これ以上いじょうかいをつぶせない。つかさはしかたなく、2かい東端ひがしはじにある3号室ごうしつうつった。海外生活かいがいせいかつながいため、シャワーでもべつにはならなかった。玄関げんかん両脇りょうわきに2かいへあがる階段かいだん別々べつべつについている。3つに区切くぎれば、左右さゆう廊下端ろうかはじとびら玄関げんかんにして1、2かいのつながったメゾネットタイプにできるらしい。中央ちゅうおう階段かいだんがないため、いま玄関げんかんのところに階段かいだん増設ぞうせつしなければならないが。

 とりあえず0号室ごうしつ物置ものおきということで封鎖ふうさした。れいのマツはどびらけなくても自由じゆう出入でいりりできるし。


 マツは平日へいじつ昼間ひるまは、どこかにかけていた。成仏じょうぶつしてもらうには、マツのことを調しらべるしかない。はなしたがらないマツの成仏じょうぶつがかりをつけるのだ。あるつかさはマツのあとをこっそりとつけた。つけられていることをってからずか、かれ見通とおししのみちをゆっくりとすすむむ。やがて、小高こだかいおかうえにあるちいさな遊園地ゆうえんちについた。切符きっぷわず、マツはまっすぐなかはいった。

「おきゃくさん、入場券にゅうじょうけんってください。」

 マツのあとをそのままはいろうとしたつかさ係員かかりいんさけぶぶ。あわてて、受付うけつけもど入場券にゅうじょうけんっているうちにマツを見失みうしなった。

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