キタキツネと黄色い風船
アほリ
1#キタキツネのチャンタが風船を見つけたこと
北の寒い大地の海に張り巡らされた流氷に、一匹だけぽつーんといる黄色い者がいた。
それはキタキツネだった。名前をチャンタといった。
「う~~~~寒~~い!!ひとりだ~~!!ず~っと歩きっ放しで一面氷だらけでつまんね~~!!」
キタキツネのチャンタは流氷をひとりで渡る孤独を紛らす為に、ず~っとひたすら独り言を口走っていた。
キタキツネのチャンタはただ果てしない大空を見上げて、深く深く息を吸い込んで、ふぅ~~~っ!!と口をつぐんで息を吹いた。
そうすると、息が凍って白い煙のようになり大空に浮かんでいった。
そうやってチャンタは暇潰しに自分の息で遊んでいた。
チャンタは大空に消えゆく自分の息の塊を見上げると、黄色い点粒が浮かんでいるのを見つけた。
「何だろう・・・」
キタキツネのチャンタはその黄色い空飛ぶ物体を見とれていた。
よく目を凝らして見てみると、下に細い“尻尾”がフワフワしており、黄色い体は丸くリズムを取るようにユラユラしていた。
「ゴム風船だあ~~~~~っ!!こんなところで見るとは!!きれ~い!だな~!コーン!ココーン!!」
キタキツネのチャンタは飛んでいく黄色い風船にうっとりと見とれていた。
「あのゴム風船を僕は出会いた~い!ゴム風船が欲し~い!ゴム風船は僕が貰うよ!まって~!」
キタキツネのチャンタチャンタは今から向かおうとしている、北の海岸沿いに向かって飛んでいく黄色い風船を、空を見上げて追いかけた。
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