第9話 遊園地で一休み

 祐二ゆうじは、郊外こうがいちいさな遊園地ゆうえんちにいた。

むかし、ここにたなあ。」

 おとうとまれるまえ一度いちどだけ両親りょうしん一緒いっしょたことがあった。いそがしい父親ちちおやひさしぶりのやすみだ。大型台風おおがたたいふう接近せっきんしていたが、キャラクターショーをにきたのだ。いえるときはおだやかだった天候てんこうが、到着とうちゃくするころには大荒おおあれになっていた。

本日ほんじつ暴風雨ぼうふううのため、屋外おくがいものはすべて休止きゅうししております。」

 ぐちおおきながみがあった。観覧車かんらんしゃもジェットコースターもうごかない。キャラクターショーも予定よていよりみじか時間じかんできりあげられた。そんななかで、唯一行ゆいいつおこなっていたのは、お屋敷やしきだった。

「せっかくたんだ。はいってみよう。」

 父親ちちおや言葉ことば

「いやよ、そとっているから二人ふたりってきて。」

 と、こわがりの母親はほおやこばんだ。

「しかたない、温泉おんせんでもってかえろうか。」

 三人さんにんは、お屋敷やしきにははいらず、そのまま駐車場ちゅうしゃじょうへとげていった。


れいれてくることはできないしなあ。」

 祐二ゆうじは、うらめしそうにひとはいらないお屋敷やしきをベンチにすわりながら一人ひとりつめていた。

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