チュートリアルのはじまり
私はチュートリアルの扉をくぐった。
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★Tips
ストーリーモードでは1%の確率で雄の三毛猫に転生することがあるぞ。
しかし喜んではいけない。これは孔明の罠だ。
雄の三毛猫は遺伝子異常で次の世代が残せないんだ。
1%を引いてしまったら諦めてリセットしよう。
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◆システム音声
『Welcome to ようこそチュートリアルへ! このチュートリアルではこのゲームの基本的な進め方を体験してもらうよ! あっ、チュートリアルと言っても油断は禁物。ふざけてると死んでしまうからね。大事なことなのでもう一度言いますが、ふざけていると死んでしまいますからね』
なにやら不穏なアナウンスが流れた。まあ、ゲームだから死ぬことはないだろう。きっと、リアリティを出すためにそう言っているに違いない。私はそう納得した。
ぶぉん
低い響くような効果音が鳴ると、徐々に無機質なワイヤーフレームの世界に色が付いていく。
そして、目の前にはよくある日本の住宅街が広がっていた。
……この世界は、どことなく見覚えがある。
どこで見たんだろう……そう考えていると、元気な少年の声が聞こえてきた。
「おーい! 木曽野! 野球やろうぜ!」
この声は、聞き覚えがある。そして、「木曽野」という名前……。
見覚えがあるはずだ! ここは、国民的アニメ『THE紗英さん』の世界だ!
間違いない。声の主はメインキャラクターの木曽野カツオノエボシの親友のシマナカの声、声優変更前の懐かしい声だ。
目の前には木曽野家と、婿入りした福田家が住んでいる昭和の風情が漂う見慣れた一軒家だ。
隣の家は作家の黄泉平坂先生の家。
そして、お向かいは明るい窓のお向かいさんだ。明るい窓のお向かいさんってどういう意味かわからなかったけれど、実際に目の当たりにすると、確かに明るい窓だった。それはもう明るい窓だった。
……それはどうでも良いとして、なるほど、私はこの世界で猫になって遊ぶわけだ、ということがわかった。
ということは、私はきっと、木曽野家のペット、タマの姿をしているに違いない。そう思って体を見まわしてみる。
……おかしい。木曽野家のペットのタマは白い毛色をしていたはず。どう見ても、私の体は薄汚れたキジトラの毛皮だった。
その時、システム音声がアナウンスされた。
◆システム音声
『MISSION発動! 木曽野家の台所から魚を盗み出せ!』
……ああ、わかった。私は、オープニングテーマに登場する例の「ドラ猫」になっているのだ。
やってやろうじゃないか。華麗な一騎当千の爽快ねこアクションを見せてやる!
■選択肢
・正面突破
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885059705/episodes/1177354054885059780
・正面突破はしない
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885059705/episodes/1177354054885059759
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