終焉の夜明け編
二十八之剣 「裏切」
“光”
ソラは、自分の持てる力を剣に注ぎ込み、カゲツに強烈な一撃を加えようと神々しく輝く光の剣を振り下ろす。
すると。
天に、線を描いたように切れ目が走ります。まさにソラの全力をかけた一撃だ。
すさまじい破壊音とともにカゲツを覆う鎧が砕け散る。鎧を失ったカゲツは、勢いを失い地面に落下していきます。普通なら、あの高さから落下すれば、無事では、すまないはずですが。
相手は、魔族。油断はできません。
終わったと思ったら、まだ、しぶとく生きているということも考えられます。
はあ......はあ......はあ......。
ソラの呼吸が荒い。剣を地面に突き刺し、それを支えにしなんとか立っている。全てを出しきったソラ。今の一撃で、エレムから与えられた力の全てを使いきったようです。
「やったか。今ので、魔族を」
ソラは、カゲツの様子を見るため歩き近づく。カゲツに接近するにつれて、苦しそうな呻き声が聞こえきます。
「うっ、うああああ!!!」
カゲツの声。やはり、カゲツは、油断ならない。あの一撃を受けても、まだ、倒せていなかったようだ。
「まだ、倒せていないのか......」
ソラは、いつ襲われてもいいように警戒しながらカゲツの元にさらに近づいていきます。そして、呻き声をあげるカゲツの姿を見た瞬間、思わず歩みを止め、唾を飲み込む。
カキ、コキ、コキ、コキ。
何か堅いものが、砕かれ、すりつぶされる音。自ずと、ソラの瞳が大きくなる。
クチャ、クチャ、クチャ。
何かを咀嚼し、飲み込む音も聞こえてくる。ソラの心臓の鼓動が狂いだしたように激しく踊る。
「どうなってるんだよ、これ」
ソラは、状況が分からず、不安と恐怖で頭が埋め尽くされる。
「いてー、いてーよ。なんで、食われる側の妖精が俺を食ってんだよ!!」
そう叫ぶカゲツの身体には、妖精たちが群がり両手を使って貪っている。貪っている妖精たちは、カゲツの攻撃で地面に倒れていた妖精たちだ。妖精たちの様子は、明らかにおかしい。目は、赤く充血し、そこに妖精たちの意志を感じられません。まるで、人形のようです。
“エンゲツ、聞いてるか”
“ああ、聞いてる”
“助けてくれ、こいつらを銃でやってくれ”
“それは、無理だ”
“なぜだ!!どうしてできない!!”
“お前は、用済みだからだ”
“どういうことだ!!エンゲツ!!お前は、一体......”
“さようなら、カゲツ。また、地獄で会おう”
“くそ!!!エンゲツ、俺を裏切ったな!!!”
エンゲツは、カゲツの頭に照準を合わせると銃を構え、引き金を引く。その直後、静寂に包まれた妖精の森に銃声が響き渡ったーー。
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