使い古しのネクロマンサー


手探りで

真夜中を走る

ホトバシル

感情を

先走る

思慕を

色のない出血ばかり繰り返してさ

誰の顔が浮ぶ?

もう忘れたことばかり

もう置いてきたことばかり


どうせ忘れたんでしょう?

全部、捨ててきたんでしょう?

取り繕った笑顔で

理想を描く 諤々がくがく

髑髏しゃれこうべがご高説

もう取り繕う皮すらない


もう忘れたことばかり

もう置いてきたことばかり

もう取り繕う皮すらない


繋がっているようで

断ち切られて

交わされたようで

躱されて

買わされてばかり

辛かったようで

叶ったことも多少はあって


取り繕う皮なんてもうないから

もう忘れたことばかり

もう置いてきたことばかり

もう取り繕う皮すらない


僕ら、使い古された

死霊術師ネクロマンサー


もう取り繕う皮すらないから

言葉で取り繕って

少しカッコつけて


骨と骨を擦り減らしても

鼻歌、口ずさむ


何も忘れてないし

置き忘れてきたつもりもない


僕ら、使い古しの

死霊術師ネクロマンサー


叶わなかった慕情なら

墓場まで、持っていく


もう忘れたことばかり

もう置いてきたことばかり

もう取り繕う皮すらない


もう君の前で

取り繕う言葉もない

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