世界樹に抱かれて


世界の果てに

世界樹があって

その根が

世界を巡って

僕らを抱きしめているんだって


世界樹様が

僕らを守ってくれているんだって


そんなことはどうでも良いから

あの子を返してください


根をはって

音を絶って

もうあの子は

あのね、もう帰ってこない


命は土に還って

砂になって

サラサラと

手のひらから溢れて


世界樹に帰るんだって

手のひらを裏返して

裏返った声で

どんなに君の名を呼んでも


骨を踏み潰した

そんな音しか返ってこない


世界の果てに

世界樹があって

その根が

世界を巡って

僕らを抱きしめているんだって


世界樹様が

僕らを守ってくれているんだって


そんなことはどうでも良いから

あの子を返してください


嘆けば嘆くほど

悲しめば悲しむほど

世界樹の花が色づいて

美しいって言うけど

花弁、踏み潰したら


骨を踏み潰した

そんな音しか返ってこない


そんな音も帰ってこない

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