螺子巻き都市


なにか言葉にしないといけないと思いながら

灰色のため息

それすら飲み込んで

今日が終わって

明日も始まる


ねじまき都市から

螺旋を巻くことに必死な住人が

あわてふためくだけ繰り返すの



目を閉じたら

夢の中でもうなされて

ほら、朝がやってきたと促されて

その手が 焼け付いて

全自動的に所属せよとか

空気を読めよとか

魔法使いの奇跡を望むけどさ


ところで、偉い人

魔法の一つでも、僕らに見せておくれ?


螺旋をまくの

このねじまき都市では

螺旋を巻いて

目的を見失ってもいいから

螺旋をまくの


理由なんか

どうだってよくて


この街が

昼も夜も眠らないために

僕たちが

朝も夜も分からないくらいに

灰色の息をすることが

幸せだって思わせるために


螺旋をまくの



螺旋を巻くの

螺旋を巻かれるの

みんなそうしてるからね

螺旋を巻くの


螺旋を巻かないと

みんな息が途絶えてしまうから

螺旋を、螺旋を巻くの


このねじまき都市では

螺旋を巻かなくても

今日は終わるし

明日が始まって


君が、自分の意志で

物語を紡げることを

みんな、本当は知っているの


型通りの螺旋を

嵌まり込んだ螺旋を

捨ててしまっても


どんなに一生懸命螺旋を回しても



明日はやってくるし

この街はそもそもカラッポだし


それでも螺旋を回そうと必死で

かみ合わない歯車をかち合わせようとして


一生懸命に、懸命に

螺旋を回すけど



君が、自分の意志で

物語を紡げることを

みんな、本当は知っているの


一番素敵な魔法で

螺旋なんかなくても

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