空中庭園の物語3

ずっと発信し続けて

交信しようとしていた

あなたは、遠くにいってしまったと

ログで知っているのに

いつかまた、帰ってくるかもしれないと

きっと、帰ってくるからと

プログラムを打ち込まれて


私は、その通りに

あなたを

まつしかなかった


作れた私は

その通り

そのように

動くだけなの


聞こえますか?

聞こえますか?


一方通この通信を

あの空に向けて

午後3時、あの歌を発信する


使い古された

言葉で

交信を続けて


いつか、このシステムが壊れるまで

あなたのことを待つ

そう作られたから

そう、命令されたから


今日も音楽をかける

音符の羅列

もう意味なんてだいのに


もう誰もいないのに

もう誰も聞かないのに

もう誰も戻ってこないのに


それなのに、それなのに、それなのに、それなのに、それなのに、

それなのに、それなのに、それなのに、それなのに、それなのに、


それなのに、


壊れることを

許されない


時間だから、今日も交信する

あなたは帰ってこないのに

あなたは、

あなたは、もう

帰ってこないのに

あなたは、

あなた、あなたは――。



【認証確認】

【ユーザーを特定】

【ログイン条件をクリア】

【システムを起動します】


あなたは、

あなた、あなたは――。


だれなの?

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