第14話


 「君は一体何者なんだ?」


 新一は目の前に現れた男性を見て言う。相手の男性は見た目からして、およそ二十代位、背丈は新一と同じ位だった。


 素性の知れない相手ではあるが、既にこちらの事は知っている様子でもあった。そんな人物に対して、新一は声を掛ける。


 「貴方の事は、既に我々の間では有名でありますよ」


 「有名?」


 「考えてみてください、私がこの村に入るには、この様な変装してやっと入れるのに対して、貴方は変装無しで村にいます。しかも…村の娘と婚約してます。我々アルティム族は既に1000年以上もの間この星に住んで居ますが、未だこの様な前例は聞いた事がありません。貴方は、我々が1000年掛けて彼等と築こうとした関係を、難なくやり遂げたのです。彼等アメーズ族は常に警戒心が強く、外部との関係を望まないのが彼等の鉄則でもありますから…」


 「で…アルティム族の貴方が、僕に近付いた経緯とは何ですか?彼等のスパイでもしろと言うのですか?」


 「まさか…」

 男性は笑いながら答える。


 「私は現アルティム国王である長からの命令で貴方に近付いただけです。貴方は我々にとっても貴重な人材でありますからね。何よりも長も貴方に対して大変興味を抱かれております。出来れば長にお会い出来れば…と、思い本日現れた次第です」


 「そう言いますが、僕は貴方の住む国を知りません。まして…この村から出たら、戻れなくなりそうかも知れないのですよ」


 「これをお使いください」


 男性はカードを新一に渡す。


 「貴方も知っている、電話ボックスから、このカードを差し込めば、我々の国に入れます。入る時は、利用する電話ボックスの番号を控えて置いた方が、戻るのも簡単ですよ」


 新一は電話ボックスで異国の地に移動出来る事に驚いた。


 「地球よりも優れた技術ですね。まるでアニメの世界が具現化した様な感じですね」


 その言葉に男性は笑う。


 「貴方の様にこの星に迷い出る人間は、その大半が地球に住んでいた者達です。さらに言えば、我々の祖先も地球人なのですよ」


 「え…それってどういう事ですか?」


 意外な彼の発言に新一は驚きを隠せずに居られなかった。

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