14発:仕事がなければ仕事をつくればいいじゃない
まさか、あんだけ多くの求人募集、いや、お仕事募集の貼り紙あって、ただの一つも条件があわないとは思ってもみなかった。
恐るべし、異世界。
恐るべし、俺。
とにかく今は、困った時には受付嬢のおねーさん、それしかない!
頼って、頼って、頼り切ってやる。
それが、親のすねかじり、
何度もすまんけど、恥ずかしながら戻って参りました、冒険者受付係へ。
――はうあっ!
どーゆーこっちゃ、こりゃ?
おやつ、じゃねーか!
しかも、膨大に食い散らかしてやがるッ!
おまけにコイツ!
あんだけさっき飲んだのに、麦芽とホップを主成分とし、アルコール発酵させて醸造させた黄金色に輝くしゅわしゅわ~っとしたもの迄、ガブ飲みしてやがんじゃねーか!
「おいッ、ちゃん様!!それ、どーした!
お金、ないだろ!?どこから手に入れた?」
「ンん~?ソコ、デース……ヒック」
酔っとるやないかッ!
なんてこった!
ガキにとって魅力的なモンが、ごっそりソコにあるじゃねーか。
気付かんかった…
いや、しかし――
「ちゃん様ッ!金はどーした、金はっ!どーやって支払ったんだ!!?
まさかッ、かっぱらったワケじゃねーだろーなァ~??」
食い逃げに加え、万引き、いや、窃盗まで加わったら、それこそ借金どころの騒ぎじゃねーぞ。
「ACカードでお支払いいただきましたよ」
受付嬢からの唐突な言葉。
支払った、、、だと・・?
いやいや、俺達、借金あるんですけどぉ。
「えーと、――お金、俺達持ってないはずなんじゃぁ……」
「先程お作りしましたACカード、特にご要望がなかったものですから、レギュラーカードにしました。
購入枠30万エン分、現金枠20万エン分、信用貸しが可能なんですよ」
えっ!?
そりゃ、お得♪
いやいやっ!
お得でもナンでもねー。
俺たちゃ、借金負ってんだぞ。
それに加えて、なにショッピングしとんねん!
しかも、おやつ買うのに、カード使うな!
「あの~…ACカードの信用貸しって、その~、俺達、借金負ってるんですけど…それって回収できるもんなんですかぁ?
いや、もちろん!俺達はちゃーんと返しますから大丈夫なんですけど、いきなり現れた見ず知らずのヤツ相手に、その機能はちょっと危ないンじゃないでしょーか…」
「ああ、大丈夫です!ギルドには専門の借金回収部門“
「おぉ!それは頼もしい…」
なんか知らんが、怖い!
受付嬢の表情も、ちょっと怖い、そんな気がしてきた。
視線が、その視線が、怖い…そして、ちょっと、心地良い♪
いや、そんな場合じゃあねぇー!
「すみません!酒場の方で仕事募集掲示板見てきたんですけど、募集条件、つーか、応募条件に俺達見合わなくて、どれもこれも引き受けられないんですよ。
どーしたらイイんでしょーか?」
「あらあら…」
最低条件として、冒険者レベル1以上とか、住所が定まっているとか、高卒以上とか…
俺達はレベル0な上、
さて、どうしたもんか――
「それでしたら、直接的なお金にはなりませんけど、冒険者経験値を獲得するという意味でしたら、お仕事の受注ではなく、自発的な冒険に行かれるのが良いかと思います」
「自発的な冒険?なんですか、それ?」
「このザイオンに足を運ばれたのも、自発的な冒険、からですよね?
別に、誰かから命令や指示、お願いされた訳ではありませんよね?」
「確かにっ!」
「同じように、自ら進んで冒険する、という冒険法もあるんですよ。
それを“
「おおッ!なんか、カッコイイな!」
「特にこのザイオンには三箇所、フリースタイルに向いた場所があります」
「オッ!?近くに冒険に向いてる場所なんてあるの?」
「はい、1つは地下迷宮。
これは旧市街に当たり、現在のザイオンはこの旧市街の上に作られた町なんです。特に地下迷宮への冒険は、フリースタイルダンジョンと呼ばれ、若者達から大人気なんですよ!」
「おおっ、そりゃあ凄い!」
「もう1つは、
最後の1つは、ザイオン上空に浮かぶ島マゴニアの探索です」
混沌牧場?
意味分からん。
しかし、空飛ぶ島なんてあるのか!?
いや、確かに、転生直後にも空中を浮遊する
こりゃ、すげぇー!
すごいぞ!
ラピュタは本当にあったんだ!――
――いや、ラピュタじゃねーけど…
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