第5話 社長休養

地方支社の構想の件であらゆる場所に行った濱岡社長が多忙の影響からか、倒れてしまった。

「社員の皆様には大変申し訳なく、思っています。会社のトップである私が体調を崩してしまって…。体調管理が甘かったみたいです。本当にすみません。」

と電話があった。

社長就任からほぼ毎日、出勤し殆ど欠勤する事は無かった。(付き添い等による欠勤は除く)

「社長、頑張り過ぎたんだろうな…。社員以上に働いていた訳だし。俺達がもっと頑張らないとな…。」


体調不良による欠勤から2日後、濱岡社長がマスク姿で会社に出勤してきた。

「皆さんには、本当にご迷惑おかけしました。体調の方は良くなっているのでご安心下さい。これからも頑張ります!」

濱岡社長が、社員に対して謝罪していた。ただ、完全には治っていないようで、度々咳などをしていた。

「濱岡社長、本当に大丈夫ですか?あまり無理しないでたまには、社員を頼って下さい。

社長がよろしければ、協力させていただきたいんです。」

濱岡社長に伝えると

「社員さんが忙しく仕事をしている時に別の仕事を頼むのは迷惑かな?と思い、自分でその仕事をしてました。

決して、信頼していない訳ではありません。」

そう言い、ちゃんと社員のことを信頼していた。


それから数時間後、濱岡社長が何やら仕事とは別の事をしていた。

「濱岡社長、パソコンで何をしているんですか?」

「実はですね。会社のHP(ホームページ)を一新しようかと。しばらく会社のホームページが放置状態だったので心機一転じゃないですけど、変えようかと思ってまして、色々考えていたんですよ。社長の名前も前社長さんのままですし。」

ホームページ…。入社前に「どういう会社なんだろう?」と思って観たのが最後だ。

当時の社長の顔写真と軽くメッセージが書かれていたのを覚えている。

まさか、あの時から変わっていないとは正直思ってもいなかった。

「濱岡社長、ホームページ一新を一緒にやらせて下さい。」

「いや、仕事に支障が出るだろうし、これは私が勝手にやり出した事だ。みんなに負担を掛けたくないので…。」

「仕事は思いのほか早く済んでいるので影響は殆どありませんよ?ちょっと暇になっている感じですね。」

社長が小声で「あーそうなのか。」と呟いた後

「じゃあ、暇ならお願いします。デザインとか色々変えたいので。」

「分かりました。力になれるよう頑張ります!」

と社員一同が言った。

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