人の恨みは絶対買うな
一樹が横に居る安心感…それは長く付き合っていて当たり前のものだったはずなのに。今日だけは、本当に特別だった。
…~♪~…
ぅっさいな…LINEの通知音に起こされて、薄く目を開き画面を見た。
<ヒカルちゃんの家の場所は分かりました。男と住んでいるんですね
僕は遊ばれたんですね。これで終わりになるなんて思わないでください
貴女は良い死に方は出来ません。貴女は地獄にいきます。
貴女は来世で本当の不幸者になるでしょう。
最後に僕からのプレゼントです。ポストの中>
何の根拠もないただの恨みが文章に綴られていて…改めて気持ちが悪いと思った。
そして“最後に僕からのプレゼントです。ポストの中”その一文が恐怖心を再びかきたてた…
横で眠る一樹を起こさぬように、玄関に向かって足を進める。
恐る恐るポストを開けると…A4サイズの封筒が入っていた。
一呼吸をおいて、封筒の封を開けた…。
何これ…。
これは何なの?
あまりの恐怖に体から力が抜けて、ペタリとフローリングに座り込んだ。
そこには、数々の私のプライベート写真が入っていたから…それは一樹と一緒のものもあれば、聡美と映ってるものもあった。
「…ぁき?美咲?」
(ビクッ)
後ろから一樹に声をかけられたことで、体が震えた。
『一樹…これ…』
私は寝起きの一樹にヒロ君が送ってきたであろう写真を手渡す…
当然彼は目を見開き言葉を無くしていた。
しばらく呆然とそれを見つめた後に…
「そいつのLINEは分かるか?」と問われ、スマホでヒロ君のLINE画面を見せた。
そして、それを10秒ほど見つめると意を決したかのように着信ボタンを押してハンドフリーに設定した。
LINE特有の呼び出し音の後、通話画面が表示された。
で、出たよ…。
「ヒッ…ヒカルちゃん…」
ヒロ君と思われる男はスマホの向こうで鼻息を荒くさせているのが聞こえた。
何?興奮してるの?気持ちが悪い…
一樹は私に目で合図をした。それは何か言ってやれってことだろう。
『お久しぶりです』とりあえずの一言目。
「待ってたよ。ぼ、僕からのサプライズ喜んでもらえたかな?」
きっ、キモイ。一樹を見ると左頬をピクピクとさせていた。
「もしもし?ヒカルの彼氏ですけど。彼女に付きまとって何のつもりですか?」
痺れをきらした一樹はそう放った。
さて、どう返ってくる…?
「ヒカルちゃんを弄んでる男か」
やばっ、その返しは想定外で…気持ちの悪さにまたしても虫唾が走る。
「こちらは何を言われても構いませんけど、どうします?
彼女も迷惑しています。先ほどの写真を持って警察に行こうと思うのですが
ちなみに、そちらさんの会社に送りつけるということもできますけど」
一樹がいつになくたくましく男らしく見える…6年付き合って、こんなにカッコイイ姿は初めて見たかもしれない。って私はバカか!
「そっ…そんなことしたら、君の彼女を詐欺罪で訴える!」
詐欺罪!?ヒロ君、頭悪すぎでしょ?私が何の詐欺をしたって言うのよ?
「そちらがそう出るなら、こちらにとっては好都合ですね。構いませんよ。
こちらも弁護士をたてますから。
ただ今そちらさんがやってることはストーカーですよね?自覚ありますか?」
「バ、バカらしいな
良いよ。そんな小娘もう用無しだ。くれてやるよ」
ふふっ、それって負けを認めたってことでしょ?ヒロ君の発言のくだらなさに鼻で笑った。
「分かってもらえれば良いですけど、もし今後もこのようなことがあればどうなるかは分かりますね?」
「分かった…分かったから、会社にバレることはしないでくれ」
「分かったなら、今すぐ連絡先を消してください。それとそちらさんの携帯に保存されているヒカルの画像も全部削除してください。
もし、プライベートの写真が流失した場合こちらは真っ先に貴方を潰します」
「か、勘弁してくれ…僕は純粋にヒカルちゃんのことが好きなだけなんだ」
だっさ。そして最初から最後まで気持ちが悪かった。
そんなこんなで話が丸くまとまって、電話は切れた。
これで終わりだ…
結局どの経緯で私がここに引越してきたことを知ったのかは分からないまま。
恐らく辞める前からストーキングはされていたんであろう。
けど、私はこの人から何百万とお金を貢がせたんだ。
“恋愛感情を利用しお金を遣わせる”
あの頃は何も罪悪感を感じなかった。
私は“No1キャバ嬢のヒカル”と言うブランドだと自負していたから…今思えば高飛車になっていたんだ。
【他人の恋心を踏みにじって生きてきた事実はキャバ嬢を辞めて帳消しになるわけじゃない。
逆にこれだけで済んだということは少しだけ運が良かっただけなんだ。】
※自分と同じようにストーカー被害に遭っている方は迷わずに警察に相談してください。
そして極力一人での行動を避けてください。
今回は、このような形で済みましたが筆者は過去に二度程、ストーカー被害で警察に相談をしています。
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