恐怖におびえる夜。
4月も中旬、あれだけ不安だった研修も終了しお客様の前に出ることが増えた。
接客は楽しい…けど子供は苦手だ。まぁ時給が良いし我慢我慢。
そんな最中、未だにLINEを毎日送りつけてくるお客様が一人だけいた。
それはヒロ君。
<結局、俺はヒカルちゃんに遊ばれただけなんだね>
今日はこんな文章が届いたが安定の無視を決めていると…
次のレスがきたんだ。
<今日、ヒカルちゃんの地元に来ているよ。
家はこの辺かな?少しでも良いから会いたい>
家の近く…そんな冗談…脅しに決まっている。
もちろんヒロ君には、前の家も教えていないし地元に帰ったことだって知らせていない。そう考えると、これはやはり脅しだ。
それなのに、胸がザワザワとして変に恐怖心が湧いた。
私はスマホの電話帳から聡美を探し出し電話をかけた…
ープルルルル…プルルルル…ー
「もしもし~」
スマホ越しで聡美の声を聞いたら心なしかすごく心が落ち着く。
『聡美?あのさ、今から来れたりしない?』
「どうしたの?随分急だね」
声のトーンで聡美が驚いてるのが伝わってくる。
こんなのワガママでしかないことは承知の上。けど、このままじゃ怖くて眠りにつくことも外を出ることも出来ない。
『なんか、キャバの頃のお客様から変な連絡がきて…』
「まぢか。わかった!心配だから少し顔出すね」
『ありがとう。後でご飯奢るね』
今から聡美が来る…少しばかり胸を撫で下ろしていると、LINE画面が表示された。
それをタップ…
<ヒカルちゃん。今ね、多分ヒカルちゃんが住む家の近くにいます>
気持ち悪い…怖すぎる。体中に鳥肌が出て、背筋が凍りつく思いだった。
よりにもよって一樹が船から帰ってくるのは、明日の夕方。
けどさすがに恐怖心でうろたえた私は一樹にLINEの文章を作った
《キャバ時代の客から変なLINEきたよ…怖い。
とりあえず今聡美が来てくれるみたい。仕事中にこんなLINE送ってごめんね》と言う文面と、ヒロ君からのLINEをスクショーし送信。
もしかしたら…近くにいるのかもしれない。
恐怖心も大きくなりすぎると居ても立ってもいられなくなるのか…家のありとあらゆる窓の鍵を閉めた。
それだけじゃ思いとどまれず、何故か布団にもぐりこんだ。
…~♪~…
聡美だ!!
『もしもし?ついた?』
「うん、今玄関の前に居るよ」
『鍵開けるからすぐに部屋に入って』
「分かった」
ガタガタと震える足取りで玄関の鍵を開ける。
「大丈夫?」
そんな聡美の労りの言葉を遮るかのように、彼女の腕を引いて部屋に入れた。
案の定、聡美は目を丸くしていた。
『ごめんね…怖くて』
「みーちゃん、大丈夫?顔色悪いけど…」
とりあえず、聡美をリビングに入れるとすぐさまヒロ君からのLINEを見せた。
すると、聡美は真っ青になりながらスマホを私に返した。
「そう言えば家の前に白のレクサス止まってたけど…さすがにそれではないよね?」
聡美が放った言葉を聞いた瞬間に眩暈がした。
何故か?って…ヒロ君も白のレクサスに乗っていると前に話していたことを思い出したからだ。
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