今日も私は夢を見る。

かるめ。

第1話 その電車は何処へ行く?


それは、一週間前に見た夢の中の話。


私がいた場所は見知らぬ大きな駅でした。

きっと、どこかへ遊びに行った帰りなのか……。私は家に帰ろうと電車へ乗ろうとしましたが私のいつも乗る電車はありませんでした。

赤、緑、青…五つほど電車はありましたがどれも私が乗る電車ではなく私が聞いたことのない場所へ行くのです。


どうしよう…、帰れなくなっちゃった…。そう慌てた私に「こっちだよ」と手を引いてくれた人がいました。

それは私の友人で、友人は黄緑色の電車に一緒に乗せてくれました。


普段私が乗っている電車とは全然違う色や形をしていたので本当にこの電車で大丈夫なのかなと思っていましたがもう何年も一緒にいる友人がこの電車に乗せてくれたのできっと大丈夫だろうと最初は思っていました。

しかし、暫く電車の椅子に座って待っていても次の駅へは着かない。

それどころか、外の景色は何も見えずただ真っ白で、そして何よりも他の数名の乗客に違和感を覚えました。


「ねぇ、これ何処に着くの?」そう隣に座っていた友人に聞いても何も答えてくれませんでした。友人は虚ろな目で、ただどこかを見つめていました。

恐怖を感じて他の乗客にも聞き回りましたが誰も答えてくれず、俯いていたり、電車はガラガラで椅子は空いているのにも関わらず地面にへたりこんでいたりしている人もいました。


どうしよう…。そう戦いていたら「良かったですねぇ」とさっきまで居なかったおばさんに声をかけられました。

「何がですか…?」私がそう恐る恐る聞くとオバサンはこう幸せそうに口を開きました。



「だって、この電車。天国へ逝けるのですもの。これ以上の幸せはないじゃないですか」



はっと我に返った時には私は一両だけ脱線してぐちゃぐちゃになった電車を空から見つめていました。

そこで目が覚めたのですが夢の中の友人はきっと事故で生死をさまよっていた私を道連れにしたのでしょう。

よくよく考えるとあの電車は8両ぐらいはあったはずなのに電車に乗っていた時はその1両しかなかったような気がします。

ならもし、一番最初に友人の手を無理やり離したり、「いや、こっちじゃない?」と別の場所へ連れて行ったりしたらどうなっていたのでしょうね。


真相は夢の中。

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