夢想戦線

蘇来 斗武

第1話 襲われる夢

「なんだ······なんなんだよ!?おかしいだろ!あんなの見たことねぇよ!」

息が切れる。しかしそんな事はどうでもいい、それより先に“あれ„から逃げないと。

走りながら後ろを振り返るとミイラを連想させるような全身を包帯に包まれた様子の人形ひとがたの生き物が俺を追いかけている。人の形をしているが人かどうかも分からない。人だとすれば大きさは成人男性ほどだろう。

いや、まずい、これはヤバい、捕まる······!

ミイラの手が服の裾に触れそうになったところでミイラの姿は無くなった。が、

正確には消滅したわけではなく最後に視界に映っていたミイラの姿は大きく左側に逸れていた。その方向に目をやると瓦礫の上に倒れているミイラがいた。一瞬の出来事に、立ち止まり唖然としていると遠くから声が聞こえる。

「大丈夫か!?」

見ると黒い服を着ている男性2人と女性1人がこちらに向かって走って来ているのが見えた。

男性はそのまま「そっちは頼む」と言って俺を通り過ぎ倒れているミイラのほうへ走っていく。その様子を見ていると後ろから先ほどの女性に声をかけられる。

「君!大丈夫!?名前は?」そう言われて咄嗟に答える

「······水月歩夢みずきあゆむです·········」ふと女性の後ろを見るとさらに10体ほどのミイラがこちらへ向かって走っている。それに気付いた女性は叫ぶ「早く逃げて!!」


俺は無我夢中で走った。心の中で『逃げないと』と何度も反響する自分の声を聞きながら走っていると、さっきの黒い服の人たちとは違う······頭に直接声が聞こえる。

「······む······ゆむ······歩夢!!」


目を覚ましたそこは見慣れている自分の部屋だった。

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