神様への手紙
小夜時舞雨
少年の手紙
少年は思った。
僕の人生を決めている人は誰なんだろう。
教会の神父様に聞くと、「それは神様で、人の心の中にあるものだよ」と。
某年、都会の路地裏の隅で蹲る小さな影があった。
赤黒い痣が目立ち、痩せ細っている少年だった。既に息絶えていた。
血の滲んだ手にはぐしゃぐしゃになった紙を握りしめていた。
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拝啓 神様
神様 貴方はどんな姿をしていますか
神様 貴方は今までどんな命を産みましたか
神様 この世に生きている人間を憶えていますか
神様 僕のことを憶えていますか
産まれた時の写真は暖かい光と穏やかな両親に包まれていました。
神様 僕のことが見えていますか
神様 今路地裏の隅にいます。赤黒い僕が見えますか
お母さんは、引き出しからお金をとって帰ってきません。
お父さんも、神様と同じように僕が見えないのかも知れません。
神様 人がみんな同じというのなら僕はなんで家がないのですか
神様は身勝手なのでしょうか。
神様 お願いです。
暖かいスープといい匂いの毛布をください。
優しいお父さんとお母さんを、良ければ可愛い弟もください。
綺麗な服と、おもちゃをください。
全部全部大切にします。
神様 聞こえていますか
カミサマ、貴方が僕にくれたものを
ひとつ残らず処分してください。
カミサマ、最後に一つだけお願いです。
僕をなくしてください。
敬具
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神様は時には残酷です。
貴方なら神様にどんな手紙を出しますか。
神様への手紙 小夜時舞雨 @sayosigurere_9
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