第4話 命のはじり

ドクン




ドクン、 ドクン。



自分の心臓の音で目が覚めた。


周りは薄暗くて、なんだか壁に囲まれている。


どうして私はここにいるんだろう…?





そのころ天国では、

先ほど割れたはずの池の鏡は

水面に戻り、神様がまた鏡に変えて

下界を覗いていた。


「上手くいったようだな。」

そう言うと、スーツの男は不思議そうな顔で神様に問いかけた。



「なぜ、彼女の記憶を消さなかったのですか?

ほとんどの人は自然に忘れてしまうが、神様と長く会話した者は用心していつも記憶を消してから生まれ変わらせてしまうのに…。

消えないように刻印まで魂に記憶させるなんて‼」


感情的になっている男に神様は


「彼女には忘れてほしくなかったんだ。それはこれから全て明らかになっていくだろう。見ているといい。」



「意味がわかりません。」

苛立って、男は口を尖がらせた。


「私はすべての人々を愛しているよ。それが出来たとき、どんなに人は楽に生きれるだろうと思ったんだよ。」


神様はそう言ってニッコリ笑った。






ドクン。



ドクン、ドクン、ドクン。







また自分の心臓の音で目が覚めた。


少し眠っていたみたいだけど、あまり周りは変わっていない。




たまに壁が動いてくすぐったい。


壁は温かくなりポカポカする。

ちゃんとお腹一杯食べれる。




ここはどこなんだ?




「こんにちは、パパだよー!」



温かい壁が半透明になって、知らない男の人が覗きながら言ってくるのが見えた。



そうだ、わたしは生まれ変わったんだ。


きっとこのひとが父親。



わたしは愛するひとのお腹の中にいるんだ。



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