束の間の静寂 9

そして無言で立ち去る父…


泣きながら札を拾う私…と

若い衆


父を追いかける母…


足を止め一緒に拾ってくれる人も…

もはや今の私は人目よりも父の怒りの方が気にかかる…


お金も無事に拾い集め 駅で若い衆と待つ私

若い衆の慰めの言葉も耳に入らない…


数十分後 母と一緒に父が戻って来ました

私…ビビリまくり


父 「寸前まで黙っていたその根性が気に入らねぇ!何に使った!?」

私 「ブランドの…服を…」

父 「今からその服を質屋に入れて少しでも金作って来い!筋はキッチリ通せ!」


えぇぇぇぇ!


マジですかぁ…


私は若い衆の車で服を取りに家に戻りました

気持ち悪い…

酔っちゃった…


けど そんな事言ってられない

服を持ち待って居る父の元へ急ぐ

あまり待たすと又キレかねない


服を父に見せると皆で近くの質屋へ…



「5000円ですね」



えっ?…5千円?…そんなもの?


服はいくら高くても流行りやサイズがあるので大した額にはならないらしい…

5千円なら父も諦めるだろうと様子を伺っていると



「買い取りなら2万出しますよ」

と 質屋のオヤジ



( おいおい余計な事を…)


良くわからないが預け入れだと安く買い取りの方が少し高くなるらしいのです


私 「あの…5千円…でいいよね…?」

恐る恐る父に問う


父…無言…



私 「……か…買い取りでお願いしますぅ」


サヨウナラ…一度も着る事のなかった自分へのご褒美…(泣)

半ベソ状態でいると見兼ねた質屋のオヤジが


「なんか訳ありだそうから2万でいいですよ

その代わり1ヶ月で流しますよ」


と 突然の助言

質屋のオヤジ…

あんたってやっぁなんていい人なんだぁ


結果 2万円を借り父へ渡しました


その間…

母と若い衆が父をなだめてくれて なんとか落ち着く父


…ふぅ…

殴られなくて良かった


昔の父なら

既に 母と私は殴り倒されている…


私の必死の資金繰りも終り

計32万を持ち不動産屋へ

残りは後日振込むと言う事で無事に契約終了


その後部屋を見に行き…

父の

「食事をして帰ろう」

を さっきの車酔いが治らないと理由にし

誘いを断わり私と母は家路に着きました



久し振りに父に怒られた日でした



服は給料で私が出しに行き 残りの8万は話を聞いた姉の説得で なんだかチャラになってました

もしかしたら姉が出してくれたのかもしれません…


ご迷惑おかけしてすみませんでしたぁ


ってか

娘にケジメとらせた父…

人生勉強を教えたつもりなのか?

それともただ使い込みされた事に腹が立ったのか?


良い親なのか悪い親なのか?

私にはわからない…


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