小説家になった勇者 最強賢者(ランク1)と竜馬の配達人
堕天使と天使
第1話 賢者への逆転生
とある会社のオフィスにて、パソコンの画面に食らいつき、ものすごい勢いで仕事を終わらせていく女がいた。
「神谷さん、これお願いできますか?」
「あぁ、そこに置いといてくれ」
「ありがとうございます!」
神谷と呼ばれる女は少し背伸びをすると手元にあるコーヒーを飲む、そしてデスクに置こうとするが手元が狂いコーヒーカップが手から滑り床に落ちようとしていた。しかし
「エアロストップ!」
神谷はゲームで出てきそうな単語をコーヒーカップに向かって唱える。しかし残念。コーヒーカップは床につき液体をまき散らした。
「はぁー、ソシア・ルーアン、と呼ばれていた時は使えたんだがなー」
「なんですか?ソシアルーアンって?」
「っ!?……あぁー、うん、なんでもない」
「そうですか……私は先に帰りますね!」
「あぁ、気をつけてな」
神谷はそう言って送り出す。そして深い溜息をつきながら、椅子に深く座り上を向く。
私の名前は神谷、下の名前は……なんだったか忘れてしまった。この事を堂々と人の前で言うのは少々恥ずかしいが、実は、前世では『ソシア・ルーアン』と言う名前で勇者と呼ばれていた。この名前は結構名を馳せたんだが、ここの世界は魔法も使えない、おまけに勇者と呼ばれたものに与えられる地位というものがない。実に生きづらい。神谷はまたも深い溜息をつく。
「もう一回あの世界に転生……と言うのはないかなー」
神谷はそう言うと深い眠りについた。
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「んっ、んー……ん?」
神谷は目を覚ました途端、目の前の光景に目を丸くする。なんだ、これは……。周りを見渡すと、妖精のような姿をした奴、大きい剣を持った武人、杖を持った賢者のような格好をした女などが行き交っていた。しかも建物も、あの社畜を強いられる世界のものではなく、武器を売っている店、小さい瓶のようなものを売っている店が連なっていた。
「ここは……」
そうだ、ここは私がもともといた、勇者と言われ人々を助け回って、何不自由なく生活していた世界だ。私は神谷ではなくこれから『ソシア・ルーアン』として活動できるんだ
神谷、ではなく、ソシアルーアンとして転生したソシアは本当に転生したのかを確かめるために、目の前を通った小人に向かって指を指す。
「エアロ、フーラン」
ソシアがそっと呟くと、指の先に魔法を使う際に出てくる魔法陣(スペルアクター)が刻まれる。そして小人が空中に浮かび上がった。その光景を見たソシアはふぅーと息を吐き、立ち上がるのであった。
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