私、ここで生きていてもいいの?

廊下から足音が響いてきて、ガチャリとドアが開いた。


ジミーが戻って来た。


私の所まで駆け寄ってきて、


「さあ、おまえの好物だよ、ギルチョッパー」


ジミーは手を鳥かごの中に入れてきた。

その手のひらの上には丸くて大きな白い――


「ピュルリビュロロ(カブトムシの幼虫)――!?」


「そうだ! おまえの好物だよ、さあ食えぇぇぇ――ッ!」


「ピキィィィ――!!」


目を瞑って勢いをつけてついばむ。

そしてくちばしを天に向け噛んだ。

ぷちんと皮が弾けてとろりとした中身が喉を通過していく。

でも、カブトムシの幼虫は私の口には大きすぎの。

体液が飛び散って体が汚れてしまったわ。


でも――


ジミーはとても嬉しそう。

私も嬉しい。


ああ、マーチン。

私、ギルチョッパーとして生きてもいいかしら。


ジミーはまた部屋を出て行った。


あっという間に静かになる。


青空と緑のコントラストがきれい。

私、この窓から眺める景色は好き。

自然の風景を見ていると、色んなことに思いを馳せるの。


葉っぱは幼虫に食べられる。

その幼虫を私は食べた。

私は……そのうち誰かに食べられるのだろう。


それが自然の摂理。

自然界に暮らすものは誰でも知っていること。


『そのうち』は意外と早くに訪れた――


ドアがそっと開いて入ってきたのは、

ジミーではなく、

メイドでもなく、


灰色の猫だった。


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