恋は半分のさとうで作られた。

小松原 ゆう

第1話

「小塩。」

放課後の慌ただしい教室で僕が小説を読んでいると、誰かが僕の名前を呼んだ。だが、小説が今いい所なので、無視。

「小塩!」

まだ、いるのか。しかし、小説が今いい所なので、無視。

「おーい、小塩!」

まだ、小説が今いい所なので、無視。

「小塩」

小説が今いい所なので、無視をしようとしたら本を取られた。どうやら呼んでいたのはアイツだったらしい。アイツってことは 多分このあと、『帰るぞ』って言う。

「帰るぞ。」

ほら、言っただろ?そして、僕はいつもどうりにくちを開く。

「しょうがねえなぁ、帰ってやるか。」

そして 僕は席を立った。

アイツの名前は佐藤 成也、高2。僕の友で中学からからの付き合いだ。

「で、何故無視をした?」

帰り途中で無視をした理由を聞かれるのは、慣れっこだ。だから完璧な回答を考えてきてある。考えて来た言葉を放った。

「だぁってぇ~」

「キショい」

なんだと!完璧な出だしだったはず!昨日テレビでやってた『彼氏に怒られない、10の方法』の通りにやったはずなのに!いや、諦めんな俺!もう1度だ!

「だぁってぇ~」

すると 頭に強い衝撃が走った。

「真面目に」

そう言った佐藤の手には教科書が丸まっていた。

「ごめんなさい、敵のボスが実の弟だったと知り主人公が味方を倒し始めたシーンでのめり込んでしまいました。」

「いつも、言ってることだけど呼んだら返事くらいしろ。」

「次から気をつけるわ。」

そんないつもどうりの会話をしていると、

「あっ、ねーちゃんだ」

隣を歩いている 成也が言った。

なに、どこだ!?急いで見渡して見るがこの住宅街には俺たち以外誰もいない!どこにもいないじゃないか!

「嘘でーす。」

「ふざけんなよぉぉぉお!」

俺はその場に泣き崩れた。この世界で成也だけが知っている、たった1つの秘密。それは 成也と双子である、凛花様をすっっっっっごく好きだということ。

そう僕の恋は半分の佐藤で出来ている。






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