第24話
男の顔が、そこに、ありました。
男は、泣きそうな顔で、笑っています。
「ああ・・・・・・」
アンジェラは、やっと声を、洩らしました。
「ごめん・・・・・・、ごめんね。つらい思いさせて、ごめん」
アンジェラは、心いっぱいになって、初めて、
「ありがとう。いてくれて、ありがとう。うれしいの、ありがとう」
心からの、言葉を、男に伝えます。
風は、ふたりを祝福します。
サナギが、よく透る「声」で唄って、そうして、サナギは、アンジェラの喉元に、消え入るように同化します。
「ずっと、ずっといっしょにいようね」
アンジェラの肉声と、倍音のサナギの「声」が、男の耳に響いてゆきます。
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