第7話

男は、想っていたのでした。

彼女のことを。

アンジェラが、なぜ翼を持った姿に変わってしまったのか。

男は、知っていたのでした。


アンジェラが、翼を持つ存在へと姿を変えてしまったとき、男は、その場で、彼女のことを慈しんでいたのでした。


そう。

アンジェラは、もともと、アンジェラという名前ではありません。


姿を変えてしまったあと、風が、そのような名前を与えたのでした。


男が、彼女に、してあげたこと。

アンジェラは、ほとんど気に留めていませんでした。


そうあるのが「あたりまえ」に与えられてきたのです。


彼女の周りは満たされていたのでした。

けれど彼女は、いつだって、満たされない思いで、いっぱいで、もがきもがいて。


そうして、天使に、姿を変えてしまったのでした。


そう。


アンジェラは、彼女が思い描いた姿なのでした。

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