第12話 妄

(行くだけ無駄だぞ)

少女が警告する。

「うるさい」

少女は無視して進む。

目の前にはオアシスが広がっている。

(あれはオアシスじゃない)

少女に声は届かない。

目の前に広がるのは砂。

だが少女には見えている。

見えるはずのないオアシスが。

(あれは蜃気楼だよ)

「うそだ。私には見えてる」

少女はひたすらにそれを追い続ける。

(あれは幻想なの、本当は無いの)

何を言おうと少女には通じない。

少女はオアシスに足を踏み入れる。

少女は水をすくう。

少女の電源が落ちる。

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