第55話 小説を書く

時間はまた遡ります。

二十代後半、眼科兼心療内科と出会う少し前。


iMacというパソコンが我が家にやってきました。

コロンとした形状のかわいらしいデザイン。

当時はまだまだネットが広がっておらず、グーグルの機能も今のような高性能ではなかった時代です。

ホームページの自作が流行り、ミクシィというSNSが隆盛でした。


私もミクシィにはまり、日々なにやら文章を書き込んでいました。

はじめは簡単な日記。

次第に文章は長くなり、小さなお話を書くようになりました。


小学生のころに、お話を書く楽しさを知り、その後は離れていました。

ですが、やってみると、変わらず楽しかったのです。


ホームページを自作して、小説に本腰を入れました。

痛くて、暗くて、誰にあてたわけでもないお話。

それは私のためだけに書かれた小説。

どんな名文よりも私の心をふるわせる、感情の詰め合わせでした。


どんなに生きることが辛くても、私自身の小説を読み返すと慰められるのでした。


今でも、大切な栄養剤です。

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