第21話 母と夢 つづき

私自身はしっかり覚えていないのですが、姉が母に抗議したことがあります。私についてです。


それは、私の将来の希望を、母が片端から潰していったのだということでした。


それを聞いたのが、母と姉が言い争ったらしい日から数年後。

私が三十歳を超えてからなので、もうどうでもいい話ではあるのですが。


私は中学二年から、人と交わるのをやめました。

その最初のきっかけは塾でした。

小学校の嫌な男子たちと離れたくて女学校に進学したのに、それまで通っていたのと同じ塾に通い続けたら、なんの意味もない。嫌いな男子どもに囲まれて過ごすことに耐えられませんでした。

塾をサボりました。

塾から母に連絡がいきました。私が塾に行ってないと。

母は家にいた私を叱りました。私は泣いて塾にはもう行けないと訴えました。その当時は、かろうじてわがままを言える素直さが残っていました。


人と交わらず過ごした学生生活、三年生で一度目の破局の憂き目にあいました。

通学のためのバスに乗れなくなりました。

バス停までは行けるのですが、バスに乗ろうと思っても、体が動かないのでした。

なんとか手すりにつかまって体をバスの中に押し上げても、乗り換えのバス停で、次のバスに乗る気力は湧かないのでした。


乗り換えバス停のそばの商業施設のベンチで一日座る日々を続けました。

中学三年生の時の担任は新任の国語の先生でした。気の弱そうな女性でした。

私が学校に行っていないことは一週間で親に伝わりました。

叱られました。

サボるな、学校に行け。

それだけです。

もちろん、その当時の私に、学校をサボる=悪いこと という図式以外のことは思い浮かびませんでしたから、叱られたことをブースターに変えて、なんとか中学校を卒業しました。


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