抗うつ剤が効いたあの朝から、私の人生は始まった ~双極性障害Ⅱ型までの徒然~

かめかめ

第1話 きっと忘れられない

 はっとした。

 突然の出来事だった。


 視界がクリアになって、雑音だらけだった世界が鎮まって、全身を覆っていたドロリとした真っ黒なものが、弾けて消えた。


 

「生きることって、こんなに簡単なことだったんだ」


 生まれて初めて、そう思った。

 三十二歳の冬のことだ。


 この日のことは、きっと一生忘れられない。

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