花のみぞ知る
カゲトモ
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上を見上げれば青空なのに、どうしてこんなに寒いのだろうか。空だけ見ていればこんなにも麗らかな春のようなのに。
これで雪の予報が出ていると言うのだから驚きだ。今週はずっとこんな感じなのだろう。積りはしないけど降ったり止んだりを繰り返す感じ。大雪じゃないだけ救いだけど、極寒には変わりない訳で。風も強いし、時折降ってくる雪が顔面直撃するし。
なんでこんなに晴れているのに雪が降るのだ。雲だって薄いのに。風に乗ってここまで来ているというのだろうか。
「ふぅ」
「寒いですね」
吐いた息を見ていたら突然声を掛けられる。小さく跳ねた肩を、この人は見逃していないだろう。
「ミクリさんっ、え」
細い路地に向かって振り向くと、そこにいるはずの人物がいない・・・もしやあの占い師、直接脳内に話しかける術を取得したと言うのか?
「こっちですよ、こっち」
背後に掛けられた声でようやく反対側に居たことに気付く。いつもと同じ登場じゃないと、それはそれでビックリするわ。
「お言葉ですが、私だって普通の人間ですからね」
いやいや、御謙遜を。普通は人の頭の中読めないでしょうよ。
「表情で分かりますから。あと視れば、ほぼ分かりますよ」
うん、視れば、ね。ミクリさんは霊視も出来る占い師だからね。俺の後ろ視て分かるんだよね? 知りたいような知りたくないような。
「今お時間はありますか」
「え、えぇまぁ少しなら」
「良かった。ではどうぞ私の店へ」
「お邪魔していいんですか?」
「構いません。お茶菓子も買って来ましたし、どうぞ」
「それは、ありがとうございます」
でもどうして急に? 約束も何もしてないのに。
「占いと言えば私でしょう?」
何の話?
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