戦いの開始点

p489

初めての戦い

私は大きく開けた平原の空に浮いていた。

「こちら第四六防衛基地。敵の編成を求む。」

前方に土煙をたてて近づいてくるのが見える。

「りょ…っ、りょうかいれす!」

少し噛んだが気にしないことにしよう。

左目に魔力を集め、何回も練習をした長距離観測術式を組む。そうすると、遠くの土煙がすぐそこの景色のように見えた。

「えー…っと」

何やら犬のようなものと、その後ろに猿を大きくしたようなものがついてきている。あれはこの仕事をしていれば数えきれないほど見ると言われているやつらだ。

「陸上に四足小型36体、二足小型24体です。」

しかし、これだけでは私の仕事は終わらない。

次は耳に魔力を集中する。これも、もう何回やったのかわからない聴覚強化術式だ。この世界にはいろいろな耳のヒトがいるが私のは狐型だ。耳としっぽの種類は一般的には一致している。その狐型しっぽが震えてしまう。私は耳の感覚が機敏なのだ。だからこの術式を発動させると言い様のない感覚に襲われる。しかしそのお陰で正面の雲の付近から鳥にしては汚く、まるで人の叫び声のようなものと小さく羽ばたいている音とそれよりも重くゆったりとした羽ばたき音が聞こえた。

「空中には鳥系小型十数体と竜型中型一体と思われます。」

「了解した。すぐそこから撤退し討伐本隊に引き継ぎ後、偵察中央基地に戻れ」

「了解です。撤退します」

これで、私の仕事は終わりだ胸を撫で下ろし、土煙とは反対方向に飛んだ。途中で同じように飛んでいる討伐本隊にであった。私は敬礼をした。

「ご…ご武運を」

「ありがとう」

と隊の中央にいる人が答えた。

私はそれを見送って私が一週間前に来て、これから私が過ごす偵察基地、正式名称防衛軍トチギ第四偵察基地に戻った。

「お疲れ様チーちゃん」

「はぁ~緊張しましたぁ~、1人で空にいるのがこんなに心細いなんて……うっ…うぅ」

「泣くほど!?はいはい、もう大丈夫でちゅよ~」

「バカにしないでください!シャーリさん」

私の名前はチカ。この偵察基地に一週間前に着任し、先ほど初任務を終えた新兵だ。そしてこの私のことをチーちゃんと呼ぶのは私の上官で私の所属するトチギ第4偵察基地所属405偵察部隊の隊長のシャーリさんだ。

「何はともあれお疲れ様。初めてだし、今日はもう部屋で休むといいよ」

「ありがとうございます。失礼します」

私は405部隊室をでて私は自室へ戻った。

(今日は緊張したけどうまくいってよかったなぁ……)

ベッドで横にながら私は思い微睡みの中で少し目を閉じた。

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