第5話 「レナちゃんの水筒」
うちのバイトのレナちゃんは、二十歳の大学生。顔は甘め、背は普通、胸は異様にでかい。性格はちょっとアホっぽい。
で、保冷式の水筒にお茶だかコーヒーだかを入れて職場にもってくるのだが、これを忘れて帰っちゃった。
B店長いわく。
「10回に9回、忘れて帰るのよ」
いや、10回のうち9回忘れて帰るのは、物理的に不可能だろう。持って帰らなきゃ、持ってこれないんだから。
ある日、レナちゃんの水筒が変わっていた。
雲江「新しくした?」
レナ「3本もってるんです」
なんと。どうやら、10回に9回忘れて帰るために、3本の水筒をローテーションしているようだ。
今年は2月に大雪が何度か降った。
朝から降り出した雪が、どんどんつもり、昼過ぎから東京の電車がつぎつぎと、まるで機銃掃射でも喰らったみたいに止まり始めた。
そんな中、大雪にもめげずにレナちゃん出社。だが、レナちゃんの使う路線に運休が出始めていて、すぐにでも帰らないと止まってしまいそう。
なので、「早退していいよ」と、帰ってもらうことにした。
「すみません、すみません」と言いながら帰って行ったレナちゃん。のちほどバイトのザキ江さん(50代女性)に連絡があり、無事に帰宅したとのこと。ただし2時間かかったとか。
ザキ江「ちゃんと帰れたのはいいんだけど、また水筒忘れていってるのよ」
雲江「さすがだね。こんな大雪だというのに、ちゃんと忘れずに、水筒忘れて帰ってるんだから、大したもんだよ」
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