第7話 腐食パンマン誕生

 死屍累々の死体の山に男は捨てられていた。


 その四肢は切断され、雨ざらしの中でただ死を待っていた。


 顔には角食が被せられていた。


 意識が朦朧とする中で、断裂的な記憶が男の頭によぎる。


 気が付くと手術代に乗せられていたこと。


 頭には角食が被せられていたこと。


「失敗作だ」という誰かの声。


 機械による四肢切断。


 まるでゴミのように捨てられたこと。


 ビュルッ

 突如頭のふやけた角食が触手を伸ばし、辺りの死体を取り込んでいった。


 死体を取り込んでいく内に、男の身体には生気が宿っていった。


 切断された四肢を止血して、硬化した角食で新たな四肢を再生させる。


 雨に晒された角食は腐角食へと成り果てた。


 男は辺りの死体を食べ尽くすと宛の無い旅に出た。


 腐角食で作ったマントを纏う。


 心はマグマのように怒りを携え、頭は憎悪が渦巻いていた。


 『腐食パンマン』

 誰が呼んだか分からない。


 『腐食パンマン』

 この世界にたった一人。


 『腐食パンマン』

 誰も正体は分からない。


 『腐食パンマン』

 あの声だけは忘れない。


 『腐食パンマン』

 廃棄された男。


 『腐食パンマン』

 ビックリマンチョコは捨てずに食べていたはずなのに。


 『腐食パンマン』

 初めてのヘッドはヘッドロココ。


 『腐食パンマン』

 遠足で当たった。


つづく。 

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