忘我

 今日一日ずっと空き時間だったので、これは好機とばかりに趣味の事に取り掛かっていたのだが、気が付けばこの時間になっていた。現時点で二十三時を過ぎているため慌てて打鍵している次第だ。この集中力を執筆に充てていたならもう少しまともな文章が書けるのかもしれない。

 忘我。我を忘れる。なんだかおっかない響きだが、当人としてはこれほど面白いことも無い。つまらない柵を忘れ、己を忘れ、没頭する私は一つの意志でしかなかった。食事すら面倒で適当に済ませてしまい、何を食ったのか覚えてもいない。こんな気分は久し振りである。まるで小学生かもっと小さい頃に、将来の不安など何もなく、ただ遊んで気が付けば夕方、みたいな清々しい気持であった。もう少し言うことが有るとすれば、趣味の事でなく、明日につながるような何かであったら良かったのだが、それは贅沢と言うものであろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る