不幸の詩

 誰もが幸せになりたいなんて思っているわけじゃない。

 私は不幸になりたい。例えば宝くじ一等当選して、それが何なの? それでも私は不幸ですって言えるぐらいの不幸になりたい。

 とにかく人の世は生き辛くて。今まで散々嫌な目に遭ってきた。

 良いことがあったら、その分、後でもっと悪いことが起きるんじゃないかって心配になるぐらいに。だから不幸がいい。幸せなんてもう毒だから。生温い不幸にいつまでも浸かっていたい。

 ずっと。

 みんなもそうだったらいいな。七十億のみんなでちょっとだけの不幸に浸かっていけたら素敵じゃない?

 その中で一番不幸なのが私だったら、何も言うことはないのに。

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