魔王を倒すため、聖剣に選ばれた勇者は幼馴染の魔術師と一緒に旅に出る。
ところがこの幼馴染、勇者が霞むくらいのチート能力の持ち主。魔物が束になっても敵わないくらい強いです。
ですがそんな魔術師がパーティーに加わったからと言って、魔王討伐がちょろくなるかというとそうではありません。何故なら魔術師は一日三回、大好きな勇者の姉ちゃんにご飯を作るために帰ってしまうから。
旅よりも姉ちゃんの食事を優先する魔術師に、勇者は頭を抱えます。こんな事で本当に魔王を倒す事なんてできるのか?
と、こんなゆるーい感じで物語は進んでいくわけですが、本編終了後に描かれる番外編は思いの外シリアス。
魔術師がどうしてそこまで勇者の姉ちゃんの事が好きなのか。魔王や魔物とはそもそも何者なのか。あまりに深く考えさせられる展開に、「これは本当に同じ作品なのか?」と思ってしまいました。
読み終わって感じたのは、キャラクターが非常に魅力的だったという事。勇者や魔術師、旅の仲間、魔王にいたるまで丁寧に描かれていて、完結した今でも彼等のその後を知りたくてたまりません。