バイト君とアイドルと恋

木曜日、俺はさあやんに呼び出された。俺は大学の講義が終わると目的地に向かった。幸いこの日はバイトがなかった。そして目的地であるさあやんの家は大田区の田園調布でんえんちょうふ。全国有数の高級住宅街だ。いや、日本一の高級住宅街かもしれない。大学からは電車で30分ほど。下宿先からは乗り換えがあるせいか、40分くらいかかる。田園調布駅に着くと、駅のホームで制服姿のさあやんが待っていた。高校の制服を着たさあやんは初めて見る。可愛い。




「制服姿だけど学校帰り?」


「うん」


「高校どこだっけ?」


日野辺ひのべ


「やっぱ芸能科のある高校通ってんだな」


「うん。同級生がみんな芸能人だと安心するし、芸能活動で学校行けない時も融通効くし。それに目黒めぐろにあるから電車1本で行けるしね」




俺とさあやんはこうして駅からさあやんの家に向かった。さあやんの家は駅から徒歩10分ほどの場所にあるという。そして・・・




「ここ?」




さあやんの家に着いた。しかし、ここはどう考えても交番。さあやんのお父さんが警察官だというのは知っていたけど・・・




「うん」




さあやんはうなづく。そしてさあやんは交番の中に入った。さあやんに連れられ、俺も交番に入った。そしてさあやんは2階に上がった。




「君が高山君か。彩香さやかから話は聞いてるよ」




1人の中年の警察官が俺に声をかけてきた。声の主はさあやんのお父さんだった。




「ここが家でびっくりしただろ?駐在所住まいだとね・・・」




なるほど。離島だと警察官が交番に住んでいるという話はよく聞くけど、都心でもそういう人がいるんだな。




「まさか誘拐で逮捕しませんよね?」




俺はさあやんのお父さんに尋ねる。




「まさか。お父さんが許可しているんだから逮捕はしないよ」




さあやんのお父さんはこう返事をした。安心した。そして、さあやんのお父さんとの会話が続く。そうしているうちにさあやんが戻ってきた。私服姿も可愛い。そしてさあやんのお母さんも一緒にやってきた。若い。




「高山君、いい男性だね。彼のお父さん市長だし、本人も弁護士か政治家を目指しているみたいじゃないか」




お父さんはさあやんにこう話す。お母さんも、




「かっこいいし頭もいいし、彩香が嫁に行っても自慢できるわ」




とさあやんに話をかけてきた。さあやんは、「私、アイドルだし・・・」と言っているが。そして、




「彩香。高山君と付き合いなさい。なんなら結婚してもいいぞ」




お父さんがそう言ってきた。これには俺も動揺する。さあやんは、




「でも私まだアイドルやりたいし、ましてや結婚なんて・・・」




と言う。俺も「結婚なんてとんでもないですよ!」と言った。そして、




「彩香、高山君のことが好きなんだろ?」




お父さんが衝撃の一言を言ってきた!俺は動揺し、さあやんも顔が紅潮する。そして、お互い心拍数が凄いことになっているのは明らかだ。




「うん。でも鈍感すぎて全然気づかないの・・・」




さあやんはお父さんにこう言う。そして・・・




「高山一樹くん。私はあなたのことが大好きです。男性として愛しています。よかったらお付き合いさせていただけますか?」




さあやんが俺にこう言ってきた!返事はこうだ。最初から決めていた。




「俺、さあやんに好きと言われて嬉しいよ。本当にありがとう。うん、ちゃんと付き合おうか・・・」




俺はさあやんにそう言った。そして両親がいる中、俺はさあやんと顔を合わせ、お互いの唇が触れあった。ファーストキスだ。脳が溶けるような、とても柔らかい感触。そしてさあやんは、「ダーリン、ありがとう!今日は楽しかったよ!」と駐在所を出て下宿先に戻る俺にこう言った。

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